2014 Fiscal Year Research-status Report
下垂体前葉内で産生される新規分泌因子を介した細胞間コミュニケーションの解析
Project/Area Number |
26460281
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 准教授 (00382945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 岳大 自治医科大学, 医学部, 講師 (50596210)
屋代 隆 自治医科大学, 医学部, 教授 (80119859)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 下垂体 / 細胞間相互作用 / 成長因子 / サイトカイン / ホルモン / 局所環境 / 傍分泌 / 濾胞星状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
下垂体前葉は成長、生殖、代謝、免疫にかかわる6種類のホルモン(ACTH, GH, PRL, TSH, LH, FSH)を産生する5種類の内分泌細胞と、非ホルモン産生性の濾胞星状細胞より構成される。濾胞星状細胞は古典的ホルモンを分泌しないが、種々のパラクライン因子を介してホルモン産生細胞の細胞機能を制御すると考えられている。しかし、その制御機構は十分には解明されていない。本研究は、これまでに申請者が新規に同定した濾胞星状細胞が産生する分泌因子の機能を明らかにし、前葉内での新たな細胞機能調節機構の解明を目指す。本年度は、機能が未知の8遺伝子(BMP6, FGF18, IL33, Mdk, Penk, Ptn, Wnt5a, Tnfsf13)に注目し、それらの組織内での発現動態を解析することを計画した。まず発現細胞の同定のためにin situ hybridizationによる組織化学的解析をおこなった。着目した8因子すべての遺伝子をRT-PCR法を用いてクローニングした。さらにin vitro transcriptionによりDigラベルしたcRNAプローブ作成を完了した。そのうち、新規ヘパリン結合性成長因子であるミッドカイン(Mdk)とプレイオトロフィン(Ptn)発現細胞をin situ hybridizationにより同定することに成功した。Mdkは胎生の下垂体前葉・後葉原基で強く発現しており、Ptnは後葉原基で発現していることが分かった(Cell Tissue Res. 357:337-44, 2014)。さらに、Mdkは成体下垂体前葉の濾胞星状細胞で発現し、その受容体であるPtprz1はホルモン産生細胞(GH細胞、ACTH細胞)で発現していることが明らかとなり、Mdkは濾胞星状細胞の新たなパラクライン因子としてホルモン産生細胞の細胞機能を調節することが示唆された(Cell Tissue Res. 359:909-14, 2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、当初の研究計画を概ね達成できている。本研究は、「下垂体前葉内で濾胞星状細胞は分泌因子を介してホルモン産生細胞の機能を調節する」という仮説を検証すため、次の3項目につて、3年間で、申請者と研究分担者2人、連携研究者1人、研究協力者1人で行っている。①正常ラット濾胞星状細胞特異的分泌因子と、それらの受容体の形態学的同定、②様々な生理条件の変化(発生、成長、性周期、妊娠・授乳期、ストレス負荷など)における遺伝子発現、タンパク質産生の動態、③ホルモン産生細胞への作用。本年度は、機能解析に進むための因子の優先度の慎重に見極めるため、mRNA、タンパク質レベルで可視化し、形態学的に検証することを予定していた。DigラベルcRNAプローブを用いたin situ hybridizationによるmRNAを検出する系を確立でき、候補遺伝子のうち複数の因子において濾胞星状細胞で特異的に発現していることが確かめられた。さらに、そのうちの一つはWestern Blotting法により細胞内および培養上清中に分泌されたタンパク質を同定することに成功した。また、その他の因子はin situ hybridizationによる検出系の確立の途中経過にある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、①正常ラット濾胞星状細胞特異的分泌因子と、それらの受容体の形態学的同定(前年度より継続)、②様々な生理条件の変化(発生、成長、性周期、妊娠・授乳期、ストレス負荷など)における遺伝子発現、タンパク質産生の動態、③ホルモン産生細胞への作用、についておこなう。 分泌性タンパク質の発現変動の解析については、発生過程、雌雄差、生理条件の変化(栄養状態の変化、性周期、ストレス等)や、下垂体前葉ホルモンの標的器官を除去することで特定種のホルモン産生細胞の機能亢進状態での候補因子の発現変動を解析する。 ホルモン産生細胞への作用の解析については、候補因子のうち組織学的解析、発現変動解析から優先度の高い順で機能解析を行う。通常ラットおよびセルソーティングにより得られたホルモン産生細胞の初代培養系を用いて、分泌因子のホルモン遺伝子発現、産生、分泌、細胞増殖、細胞運動などへの作用を明らかにする。このうち機能の重要性、臨床医学への応用性からホルモン遺伝子発現やホルモン分泌の変化を起こせるか否を最優先で検証したい。そこで、ホルモン遺伝子発現の変動をリアルタイムPCR法により、ホルモン産生、分泌はWestern blotting法やEIA法, ELISA法を用いて定量解析する。また、分泌因子の添加による遺伝子発現をDNAマイクロアレイ解析により明らかにすることも計画する。
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Causes of Carryover |
予定していたホルモン測定は本年度は行わなかったため、ホルモン測定試薬を購入しなかった。そのため、試薬購入に充てていた予算に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定しているホルモン測定は準備が整い次第おこなうので、次年度でホルモン測定用試薬の購入に充てる予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] Expression of the heparin-binding growth factor midkine and its receptor, Ptprz1, in adult rat pituitary2015
Author(s)
Fujiwara K, Maliza R, Tofrizal A, Batchuluun K, Ramadhani D, Tsukada T, Azuma M, Horiguchi K, Kikuchi M, Yashiro T
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Journal Title
Cell and Tissue Research
Volume: 359
Pages: 909-914
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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