2016 Fiscal Year Research-status Report
大気圧走査電子顕微鏡を利用したニューロン微細構造観察のための新技法の確立
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26460282
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
松本 英子 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (00312257)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 走査電子顕微鏡 / 大脳皮質ニューロン / 糸状仮足 / ネトリン-1 / 軸索ガイダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では齧歯類大脳皮質より調製した培養ニューロンを用いて、大気圧走査電子顕微鏡 (Atmospheric scanning electron microscope; ASEM) と呼ばれる新型の電子顕微鏡によるニューロン微細構造の可視化に取り組んでいる。近年我々は軸索ガイダンス因子ネトリン-1が大脳皮質ニューロンで示す生理作用について形態学的手法により追究しており、胎生14日 (E14) マウス大脳皮質由来の培養ニューロンにおいては軸索伸長、E16マウス大脳皮質ニューロンでは軸索分岐形成がネトリン-1によって促進されること、また、ネトリン受容体の一つであるDCC (deleted in colorectal cancer) がこれらの両方に関与していることを示唆する結果を得ている。本研究課題においてはこれまでの光学顕微鏡を用いた画像解析の弱点を補完するため、ASEMを活用した糸状仮足の可視化による解析を行った。 E16マウス由来の培養ニューロン軸索においては、ネトリン-1刺激時に認められる分岐形成が、シャフト上の糸状仮足生成に端を発する「軸索側枝形成」と呼ばれる様式に従うものであることが示された。またこのネトリン-1依存的な糸状仮足生成に対するDCCの関与も確認された。一方、E14ニューロンではネトリン-1処理の有無にかかわらず、軸索シャフト上に多数の糸状仮足様突起が認められた。このことから、軸索シャフト上の側枝密度および糸状仮足密度の変化に対する、軸索伸長の寄与についても評価を行った。 これらの研究結果からは、大脳皮質ニューロンの発生過程においてネトリン-1の示す作用が軸索伸長促進から軸索側枝形成促進へと転ずる可能性が考えられた。さらにこの転換と、大脳皮質ニューロンを構成する多種多様なポピュレーションとの関連にも興味が持たれることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の成果発表の過程でいくつかの追加実験の実施を求められたことから、これを実施するために研究期間の延長を申請し承認されたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の公表をもって本課題を早期に完結させることを目指す。
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Causes of Carryover |
平成28年度においては、追加実験の遂行の際に新たな機器が必要となり、その購入に至った。これに伴い研究計画の見直しを行った結果、次年度 (29年度) 使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果発表に際して要求された追加実験の完遂に掛かる費用、ならびに研究成果の投稿・掲載料に充てる計画である。
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Research Products
(2 results)