2015 Fiscal Year Research-status Report
眼優位可塑的変化における一次視覚野IV層内シナプスのコネクトミクス解析
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26460283
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中舘 和彦 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (80372895)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シナプス / 眼優位可塑性 / シナプス回路 / コネクトミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、視覚野神経可塑性の変化を単一ニューロン上に分布する全スパインを網羅的に解析することで,これまで未解析である神経細胞の入力依存的変化を明らかにすることを目的としている。 本年度は、昨年度行った単眼遮蔽にともなう入力バランスの変化を受けた細胞の同定するためのマーカー検索を引き続いて行なっている。単一細胞体としては核内発現タンパク質であるcFosを始めZif268、CREB、FosBを中心に検討してきた。また、入力変化に伴うスパインでの発現変化のマーカーとしてArcとDrebrinを中心に検討してきた。各マーカーの免疫組織学的解析により、単眼遮蔽の効果を反映することを示すことが可能となってきた。 また、このマーカーを解析する過程で、Drebrinのノックアウトマウスを用いた解析を新たに今年度から導入した。正常発達個体への単眼遮蔽にともなう視覚野神経細胞の変化とDrebrineノックアウト個体への単眼遮蔽での視覚野神経細胞の受容の差異を検討することで、スパインの形成と生理学的変化を明らかにしつつある。まだ解析個体数が少なく正確なデータ解析まで進んでいないが、次年度も引き続き行うことで、網羅的解析へと進める予定である。また、発達に伴うraftの解析を行ってきたが、視覚野神経可塑性能の変化と同一な変化をしていることを明らかにした。この解析結果から、これまで未知であったスパイン上での受容体密度変化ならびに受容体分布変化を解析することが可能となる可能性を示すことができた。次年度ではこの解析も進め、これまで入力依存的に発現するマーカーとともに細胞膜での変化を細胞単位で解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の遂行状況は、おおむね順調に進展している。初年度の研究をふまえ、2年目では核やシナプスでの入力依存的発現マーカーの詳細な解析を行うとともに、シナプス可塑性に関わるDrebrinノックアウトマウスを持ちいた解析を導入し、正常個体との比較検討を行ってきた。この研究の遂行により、単一神経細胞への入力がどのシナプスを使っているのか、またそのシナプスの可塑的変化がどのような作用機序で行われているのかを、明らかにすることの礎となると考えられる。さらに受容体を細胞膜へ不動化するraftの発現変化を明らかにしてきたが、その結果、可塑性能の変化とリンクすることを明らかにすることができた。これらをマーカーとして、次年度での単一細胞での網羅的な解析へと進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目、2年目の研究遂行状況から、最終年では、研究の総まとめとともに、さらなる進展へ向けて研究を行う予定にしている。 電子顕微鏡を用いた微細形態学的解析が本研究には必要なため、光学顕微鏡での解析より数段の時間と労力が必要である。FIB-SEMを用いた解析とともに、昨年度新たに開発した簡便な三次元再構築法を併用して解析していくとともに、連続写真を撮影するためにTEMでの解析に加え、SEMを用いた解析を検討している。SEMはTEMに比べ空間分解のは低いが、広範囲を撮影可能である。そこでTEM用に処理したサンプルをSEMで解析可能かどうか手技を検討し、至適条件を突き詰め、網羅的な解析をより短時間で解析する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、研究実施計画に基づいて使用しているが、海外からの試薬の価格変動としよう動物数の減少に伴い、使用額が若干予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、得られた大量の電子顕微鏡写真を三次元再構築する必要があり、その解析のためのシステムが必要であると考えられる。当初の計上した予算よりもシステムの価格の上昇が考えられるため、本年度の未使用分をその費用にて使用する予定である。また、海外からの試薬の価格が上がることが予想されるため、その費用として使用したいと考えている。
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Research Products
(6 results)