2014 Fiscal Year Research-status Report
体内時計中枢である視交叉上核における光入力制御に係わるゲート機構の解明
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26460284
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
長野 護 近畿大学, 医学部, 准教授 (80155960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鯉沼 聡 近畿大学, 医学部, 講師 (10340770)
升本 宏平 近畿大学, 医学部, 助教 (60580529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 体内時計 / ゲート機構 / 視交叉上核 / 網膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の体内時計を環境の明暗周期に同期させるものは光であり、体内時計中枢である視交叉上核の概日リズムをシフトさせる最大の入力である。夜間の光照射では体内時計が発振する概日リズムの位相変位が生じ、視交叉上核の腹外側部でcfos,Per1遺伝子発現の誘導を伴う。一方、昼間の光照射ではほとんど位相は変化せずcfos, Per1遺伝子も誘導されない。すなわち視交叉上核への光入力が抑制されており、ゲート機構が働いている。このゲート機構の機序の解明のため、まずゲートの位相を規定している領域を検討した。 ラットにおいて急激な明暗サイクルの変化により視交叉上核の腹外側部と背内側部を脱同期させた後、光による視交叉上核におけるcfos、Per1遺伝子発現の誘導を経時的に観察した。その結果、明暗サイクルを10時間後退させた時には、背内側部におけるPer1遺伝子発現サイクルの位相は1日約2時間の位相変位を示した。また、光による腹外側部でのcfos遺伝子発現誘導も同様な位相変位を示した。また、明暗サイクルを6時間前進させた時には、背内側部において明暗サイクルシフト後3日間はほとんど位相変位が認められなかったが、その後、明暗サイクルを後退させた時よりもゆっくりとした位相変位が認められた。光による腹外側部でのcfos遺伝子発現誘導も同様な位相変位を示した。次に、恒暗条件下で2時間おきに30分間の光照射後、ラット網膜を採取して、cfosタンパクと遺伝子発現を観察した。その結果、1日を通して観察したすべての時間でラット網膜の神経節細胞層において光照射によるcfosタンパクと遺伝子発現細胞が認められた。ラット網膜においては、ゲート機構が働いていないことが示唆された。 このことから光照射にて遺伝子誘導が生じる腹外側部のゲートが背内側部によって支配されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜にゲート機構が局在するかを明らかにする実験計画についておおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
微弱発光測定装置の使用数を増やし視交叉上核の全体や腹外側部と背内側部の分離スライス培養実験の頻度を増やしていく予定である。
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Causes of Carryover |
電子冷却デジタルCCDカメラを購入するため、前倒し支払い請求により予算の上乗せを行いましたが、当初の予定より低価格での電子冷却デジタルCCDカメラの購入することが出来ました。そのため次年度使用額が生じることとなりました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画通りに進める。視交叉上核のスライス培養を電子冷却デジタルCCDカメラを用いて観察を行う。光入力制御の領域が網膜か視交叉上核かという問題の解決に取り組む。また、視交叉上核における光情報を制御する分子の特定に取り組む。
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Research Products
(2 results)