2015 Fiscal Year Research-status Report
タイト結合膜蛋白クローディン7の扁平上皮癌に対する抑制効果の三次元培養での検証
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26460285
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
稲井 哲一朗 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00264044)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北河 憲雄 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (40628517)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タイト結合 / クローディン / 重層扁平上皮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タイト結合構成膜蛋白クローディン7の重層扁平上皮癌に対する抑制効果を三次元培養で検証することを目的とする。そのために、タイト結合構成膜蛋白claudin (cldn)-7をヒ卜食道の重層扁平上皮癌由来の細胞株TE-8に導入し、三次元培養で重層扁平上皮を再構築して、その層構造の分化度、癌細胞の浸潤度を解析してcldn7発現による癌抑制効果を調べる。三次元培養で重層扁平上皮を再構築するにあたり、その最適な条件を本年度は確立した。培地成分が公開されている基本培地に、カルシウム、アスコルビン酸、keratinocyte growth factor (KGF)という3種の因子を種々の組み合わせで添加し、それぞれの因子の作用を検討した。細胞はセルカルチャーインサートのポリカーボネート膜に直接播種し、コンフルエントになったのを確認後、インサート内外の液面を下げて細胞を気液界面培養で3週間まで培養し、7, 14, 21日でサンプルを取得した。その結果、重層上皮の再構築のためにはカルシウムが必須因子であることがわかった。気液界面培養開始2週間で形態的に角化重層扁平上皮に類似した重層構造が形成された。ケラチン(K)1, 5, 10, 14、インボルクリン、インテグリンβ4といった分化マーカーは、それぞれ生体の重層扁平上皮に対応する層に局在が見られた。培養開始3週間では、3種の因子すべてを添加しないとインテグリンβ4の局在または発現自体が維持できないことがわかった。以上の結果から、重層扁平上皮の再構築のためには、3種の因子すべてを添加することが必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、三次元培養で重層扁平上皮を再構築するための至適条件を確立した。培地成分が公開されているケラチノサイトの基本培地に、カルシウム、アスコルビン酸、keratinocyte growth factor (KGF)という3種の因子を添加することで、ケラチン(K)1, 5, 10, 14、インボルクリン、インテグリンβ4といった分化マーカーが安定に発現し、本来の層に局在することがわかった。今後はこの条件で、claudin遺伝子を導入したTE-8について解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に確立した、三次元培養で重層扁平上皮を再構築するための至適条件を用いて、AcGFP-cldn-l,AcGFP-cldn-4,AcGFP-cldn-7を発現するTE8細胞を三次元培養する。これら3種の細胞が形成する重層扁平上皮を、遺伝子導入前の親細胞であるTE8細胞が形成する重層扁平上皮と形態学的に比較解析する。具体的には、癌細胞の浸潤性、分化度、細胞間接着、生存率を調べる。分化度は、ケラチン(K)1, 4, 5, 10, 13, 14、インボルクリン、インテグリンβ4といった分化マーカーに対する抗体を使って免疫染色で調べる。細胞間接着は、タイト結合、アドヘレンス結合、デスモソームの蛋白に対する抗体を使って調べる。さらに、遺伝子導入細胞とTE8細胞との混合培養系を使って、同様のことを調べる。
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Causes of Carryover |
研究が比較的順調に進み、試行錯誤に要する試薬や培養器具の購入が減ったことと、研究開始初年度に購入した抗体が残っていたため単価の高い抗体の購入が不要であったから。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、細胞の分化度を調べるためのK1, K5, K10, K14, インボルクリン, インテグリンβ4といった分化マーカー抗体(100 μlあたり約10万円)を使い切る可能性があるので、残余金は抗体の購入に充てる。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] ケラチノサイト単独培養による口腔粘膜角化モデル2015
Author(s)
松浦尚志,瀬尾皓,有馬裕子,水町栄美理,篠崎陽介,稲井哲一朗,佐藤博信
Organizer
International College of Prosthodontists 2015
Place of Presentation
COEX Convention & Exhibition Center/Seoul,Korea
Year and Date
2015-09-17 – 2015-09-20
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