2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460286
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 講師 (90271436)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PKR / gelsolin / actin / villin / BiFC法 / 小腸吸収上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫関連因子PKR(double-stranded RNA-dependent protein kinase)がactinを分解するgelsolinとの結合を介し、細胞膜の安定性を高め、ウイルス等の侵入防御に寄与することが明らかとなった。本申請は、PKRとactin結合タンパク質による細胞膜の機能調節解明を目的とし、特に、機能的な細胞膜構造である微絨毛を持つ小腸吸収上皮細胞に着目し、分子形態学的および超微形態学的解析を行う。具体的には、①小腸吸収上皮細胞におけるPKRとactin結合タンパク質との相互作用、②PKR変異に伴う小腸吸収上皮細胞の機能への影響、③器官培養小腸を用いたPKR変異による微絨毛への影響、の3点について解析を行う。 本年度は、以下の成果を得た。 1. 小腸吸収上皮細胞におけるPKRおよびgelsolin, actin, villinの相互作用を検討する目的で、BiFC法を用いたタンパク質相互作用の検出系を樹立した。このBiFC法による検出系を用いて得られた結果の一部は、日本臨床分子形態学会にて招待公演として発表した。また、残りの結果は現在論文作成中である。 2. PKRの変異による小腸吸収上皮細胞の変化を解析するための小腸器官培養系の樹立を行った。得られた培養小腸は光学顕微鏡的、電子顕微鏡的にも生体における小腸と同様の特徴を表しており、in vitroにおける小腸上皮の実験系として非常に有益である事が判った。これらの結果の一部は日本解剖学会にて報告した。 以上のように、現在までにPKRとその結合タンパク質との相互作用や、PKR変異導入に用いる器官培養小腸が正常器官に近い状態である事など、PKRが小腸上皮において果たす役割の解明に繋がる結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で解析するのは、以下の3項目である。 ①小腸吸収上皮細胞におけるPKRおよびgelsolin, villin, actinの相互作用 ②PKR変異細胞を用いた小腸吸収上皮細胞の機能への影響 ③PKR遺伝子を導入した器官培養小腸を用いた小腸上皮細胞の膜構造への影響 現在、上記3項目の全てに関わる、導入用の遺伝子や、タンパク質相互作用の評価システム、および小腸の器官培養系の樹立などを達成することができた。これらには次年度以降に予定していた実験計画も含まれており、十分に物質的、技術的な準備を整えることができたと考えている。そのため、概ね順調に進展しているものと考える。 しかしながら、電子顕微鏡をはじめとした形態学的観察や小腸吸収上皮細胞の機能面での評価システムの構築は、本年度に計画していたにも関わらず遅れ気味である。そのため、当初の計画以上に進展しているとは考えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、電子顕微鏡観察を含む形態学的な評価および小腸吸収上皮細胞の機能的な評価システムの構築に取り組む予定である。今年度の実験の結果、各年度ごとの実験計画に一部前後した項目が生じているが、全体の実験を進める上で支障はなく、研究計画自体の変更については予定していない。ただし、エレクトロポレーターによる遺伝子導入がうまく行かない場合を想定して、遺伝子導入のためのウイルスの作成に新たに取り組む予定である。また、今年度進展が遅かった”電子顕微鏡による形態観察や小腸吸収上皮細胞の機能評価”については非常に時間を要する研究項目でもあるため、研究分担者のみならず研究協力者の協力を得ながら進めていきたい。研究の推進方策として今年度準備が整った物質的・技術的な環境を用いて、本研究の目的のうち、特に、②PKR変異細胞を用いた小腸吸収上皮細胞の機能への影響、③PKR遺伝子を導入した器官培養小腸を用いた小腸上皮細胞の膜構造への影響、の2項目について研究を進めて行く予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は0ではないものの、68円とほぼ予定通りであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に使用する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Diamine oxidase as a marker of intestinal mucosal injury and the effect of soluble dietary fiber on gastrointestinal tract toxicity after intravenous 5-fluorouracil treatment in rats.2014
Author(s)
Fukudome I, Kobayashi M, Dabanaka K, Maeda H, Okamoto K, Okabayashi T, Baba R, Kumagai N, Oba K, Fujita M, Hanazaki K.
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Journal Title
Med Mol Morphol.
Volume: 47(2)
Pages: 100-7
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Morphological analysis of small intestinal organoids.2015
Author(s)
Takahashi Hirosuke, Baba Ryoko, Ishimatsu Nana, Morimoto Hiroyuki, Fujita Mamoru.
Organizer
The 120th Annual Meeting of The Japanese Society of Anatomists and the 92nd Annual Meeting of The Physiological Society of Japan
Place of Presentation
神戸国際会議場・展示場(兵庫県・神戸市)
Year and Date
2015-03-21 – 2015-03-23
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[Presentation] Pentraxin3 expression in a rat model of peritoneal dialysis.2015
Author(s)
Ishimatsu Nana, Miyamoto Tetsu, Morimoto Hiroyuki, Nakamata Junichi, Baba Ryoko, Otsuji Yutaka, Tamura Masahiro.
Organizer
The 120th Annual Meeting of The Japanese Society of Anatomists and the 92nd Annual Meeting of The Physiological Society of Japan
Place of Presentation
神戸国際会議場・展示場(兵庫県・神戸市)
Year and Date
2015-03-21 – 2015-03-23
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