2015 Fiscal Year Research-status Report
グレリン分泌細胞における体内エネルギー量認識機構の解明
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26460289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 貴司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80415231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北口 哲也 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (60432374)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 開口分泌 / イメージング / グレリン |
Outline of Annual Research Achievements |
グレリン分泌細胞は、主に胃や十二指腸などの消化管や膵臓ランゲルハンス島などに存在する。例えば、胃のグレリン分泌細胞からのグレリン分泌は、周辺細胞から分泌されるペプチドホルモンや自律神経から分泌される神経伝達物質によって調節されると考えられている。さらに、摂取した栄養素によってもグレリン分泌が調節される可能性が考えられる。しかしながら、グレリン分泌の詳細な制御メカニズムについては、明らかになっていないのが現状である。そこで本年度は、低グルコース条件下で培養したグレリン分泌細胞株であるMGN3-1細胞からmRNAを抽出し、グレリン分泌に関与すると考えられる神経伝達物質受容体、ホルモン受容体、イオンチャネル、トランスポーターなどの遺伝子発現について、次世代シークエンサーを用いたRNA-seq解析を行った。解析の結果、ATP感受性カリウムチャネルと電位依存性カルシウムチャネルの発現変動を見出した。そこで、低グルコース時のグレリン分泌細胞内のATP濃度変化およびカルシウムイオン濃度変化とグレリン分泌動態との関係について解析を行った。解析の結果、細胞外グルコース濃度低下によって細胞内ATP産生量が低下し、ATP感受性カリウムチャネルが開口することが分かった。またATP感受性カリウムチャネルの開口に伴い、膜電位が過分極し、過分極によって活性化する電位依存性カルシウムチャネルが開口することで細胞内にカルシウムイオンが流入し、グレリン分泌が起こることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、受容体やチャネル、トランスポーターの遺伝子発現の検討、また受容体サブタイプの同定、そして細胞内シグナル伝達経路同定のための可視化解析系の構築を完了した。この可視化解析系を用いて、細胞外グルコース濃度変化によって起こるグレリン分泌が、ATP感受性カリウムチャネルおよび電位依存性カルシウムチャネルによって制御することを見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
解析の過程で、グルコースよりも強力にグレリン分泌を誘導する物質を見出した。今後は、当物質を投与した際の細胞内カルシウムイオン、cAMP、イノシトール3リン酸、cGMP等の濃度変化を測定し、当物質のグレリン分泌における作用機序を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
次世代シークエンサーを用いて、グレリン分泌を強力に引き起こす分泌促進物質投与時の遺伝子発現変動解析を行う予定にしていた。しかし、次世代シークエンサー自体にトラブルが発生したため、解析までに至っていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シークエンサーを用いて、グレリン分泌細胞の分泌促進物質投与時の遺伝子発現変動解析を行う予定である。
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Research Products
(6 results)