2016 Fiscal Year Annual Research Report
the pH reguration system is new target of cancer stem cells
Project/Area Number |
26460301
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
細木 誠之 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30433254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / プロトンダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本の死亡率の約30%が悪性新生物による死亡である。本研究代表者も癌治療に取り組み、従来の抗がん剤の放射線治療とのコンビネーション や、造血幹細胞移植を併用した癌幹細胞を標的としたHigh doseの抗がん剤治療を臨床において行い、成果を報告してきている。しかし実際、如何に抗がん剤を駆使しても、一部のpopulation が残存し、再発するケースがほとんどである。その原因に癌幹細胞(CSC)の薬剤抵抗性があげられる。癌幹細胞は細胞分裂がdormantであり、また薬剤排出輸送体であるMDRの発現が多い事がその原因となること、また癌細胞集団のより血流の悪い低酸素、低栄養環境に順応し抗がん剤の物理的に届きにくい部位に存在することが明らかとなっている。低酸素・低栄養環境において、癌細胞では酸化的リン酸化よりも解糖系が亢進していることが明らかとなっている(Warburg 効果)。そのような代謝の変化により癌の周囲において乳酸増加が原因となり、細胞外環境が酸性である事が明らかとなっている。酸性環境においても癌の細胞内pHは正常細胞と同様に維持されていることが明らかとなっており、癌における酸排出機構の亢進が示唆される。近年、本研究者は、癌細胞において低酸素・低pH環境においても癌の細胞内pHがより高く維持されていることを確認している。また癌の分化度の違いと酸排泄イオン輸送体の発現に明らかな差があることを認め、またその阻害剤が酸排出イオン輸送体発現に依存して、効果を発揮する事を報告している。本研究において癌細胞の細胞内pHの維持機構について癌細胞と癌幹細胞との差異としてCA9発現が重要なであることを見出し、新たな分子標的であることを明らかとした。
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