2016 Fiscal Year Research-status Report
変異リアノジン受容体のカルシウム漏れによる心室頻拍:催不整脈性のインビトロ再構成
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26460305
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
上原 明 福岡大学, 医学部, 准教授 (60140745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 孝夫 佐賀大学, 医学部, 助教 (20253594)
上原 清子 福岡大学, 医学部, 准教授 (00084244)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | calcium / 興奮収縮連関 / イオンチャネル / 筋生理学 / 心臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
心筋小胞体のリアノジン受容体(RyR2)のCa2+漏れを亢進させうるRyR2遺伝子のミスセンス変異が、心室頻拍(VT)患者で数多く同定されている。然しながら、遺伝子変異によるRyR2のCa2+漏れ亢進に始まる不整脈発生の分子および細胞機序(図1)は、未だよく判っていない。そこで筆者らは、分子と単一細胞(HEK293, HL-1)レベルの様々なIn vitro解析を行うことにより、同VT患者の新規RyR2変異を導入した再構成モデルを構築し、頻脈性不整脈の全発生機序を、本科研費3カ年計画として病態生理学的に解明することを目指した。方法論としては、分子生物学的手法とCa2+イメージング法や単一チャネル電流測定法からなる生物物理学的手法を駆使した。その結果、変異によるRyR2のCa2+感受性の著しい上昇と開状態への遷移が起きる結果、小胞体内腔のCa2+が駄々漏れ状態になることで同不整脈を誘発することが強く示唆された。また、その駄々漏れにより小胞体内腔のストアCa2+がかなり枯渇していることも、心筋細胞レベルにおいて示された。得られたこれらのデータは、In virtoレベルの解析として十分にまとまった良い成果と考えられたので、生理学のTop JournalのThe Journal of General Physiology 149 199-218(2017)に論文発表した。同論文は、本誌100周年記念として研究ニュース(同巻号175)に取り上げられるなど、高く評価されたように思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該科研費研究の成果を、生理学のTop JournalのThe Journal of Genneral Physiologyに発表出来るなど、本研究課題は概ね順調に進展している。あとは、心臓および心筋細胞レベルの実験を多少残しているが、それらも現在は着々と片付いており、平成29年度でほぼ完了できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
残る心臓および心筋細胞レベルの実験の推進方策として、今回(1)新たに提携した共同研究者にも応援してもらうとともに、(2)実験をサポートしてもらうアルバイト人数を増やした。
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Causes of Carryover |
申請書に記載された平成28年度の当初計画のうち、心臓および心筋細胞レベルの実験が想定以上に時間を要し、十分な結果が得られなかった。そこで、遅延している同実験を来年度一年間延長することによって完了する必要が生じた。本科研費基金の残高は、その実験の費用にあてる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
同残高は、薬品代、旅費、バイト雇用代、その他に充てる。また、データ解析システムとして必須なデスクトップ型のコンピュータがかなり古くなり、データ処理能が追いつかなくなっているため、買い換えたい。
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Research Products
(1 results)