2015 Fiscal Year Research-status Report
周生期及び成長期におけるGABA抑制から探る脳の性差とホルモンの制御機構の解明
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26460314
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山田 順子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30334965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 誠彦 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40311542)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性差 / 発達 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
1)行動実験:成長期および周生期の脳における性差を調べるため、成長期(生後3週齢)雌マウスと雄マウスの行動解析を行った。オープンフィールドテスト、高架式十字迷路テストでは顕著な差は見られなかったため、GABA抑制における違いを確認するためジアゼパム投与による行動解析を継続中である。 2)GABA受容体のサブユニット発現解析:GABA受容体の細胞膜へのトラフィッキングを調節するタンパクGABARAPに関係するタンパクであるPRIPのノックアウトマウスでは、扁桃体におけるトニック抑制が野生型と異なる。オープンフィールドテストによる行動解析では、雄、雌卵巣切除マウスで、野生型とPRIP1-KOで比較した所、野生型では雄と雌で中央にエントリーする時間で差がみられたが、ノックアウトでは雌雄差が見られなかった。この違いを解明するため、シナプス部、シナプス周囲での受容体発現を解析した。昨年度はノックアウト、野生型で大きな違いはみられなかったが、今回新たに条件を変えることにより、シナプス部とシナプス周囲のGABA受容体を分ける方法を確立した。これを用いて、シナプス分画におけるGABA受容体α1、4、5とベータ2,3および、δサブユニット発現を解析中である。 3)1)と同じ週齢の雌マウスの扁桃体におけるトニック電流をスライスパッチクランプ法により解析し、雄と比較した。GABA受容体阻害剤bicuculline methiodide で現れるトニックGABA電流の抑制は雄と比較したが違いはみられなかった。次年度はサブユニット特異的な作動薬、阻害剤を用いて詳しい解析を行う予定である。 ヒトの研究で、就学前の幼児の発達障害の頻度が男女で優位に違う事が判明したため(未発表データ)、マウスの周生期(生後1~2週)の雌雄の行動解析を行う準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)成長期の性差解析のうち、行動解析は順調にすすんでいる。3週齢では不安様行動に関し差は見られなかったが、薬物による効果の違いが見られる可能性があるため、ジアゼパム投与による行動解析を継続中である。 2)周生期の行動解析を行う予定だが、一時期交配が順調に進まない時期があったため周生期の解析は次年度に継続することにし、容易に購入できる週齢の実験を先にすすめた。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度に引き続き成長期の行動解析の薬物による影響を引き続き行う。周生期に母子分離を行うと成長後のストレスが脳に影響することを雄マウスでは確認しているので、雌との差を解析する。
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Causes of Carryover |
動物飼育購入及び飼育費用が予定額より少なかったため、残額が生じた。消耗品も残存しているものを優先して使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は主にマウス購入費、飼育費、および試薬など消耗品費に充てる予定である。
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