2016 Fiscal Year Annual Research Report
Neuroinfammation induced by systemic stress and plasmalogen
Project/Area Number |
26460320
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
片渕 俊彦 九州大学, 医学研究院, 教授 (80177401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経炎症 / プラズマローゲン / プラズマローゲン合成酵素 / NF-κB / c-myc / 脳由来神経栄養因子 / 学習機能 / アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
培養ミクログリア細胞株におけるLPSやIL-1β投与による炎症刺激が、ペルオキシゾームに存在するプラズマローゲン(Pls)合成酵素であるGNPATの発現を有意に抑制すること、その機序として、炎症刺激によって活性化されたNF-κBがc-mycタンパクを誘導し、c-mycがGNPATのプロモーター領域に結合してGNPATの発現を抑制することをこれまで明らかにしてきた。今年度は、同様の現象がマウス初代培養グリア細胞および、ヒト培養細胞株においても見られること、また、マウスにおいてLPSの末梢投与、拘束ストレス、および老化によって海馬で起っていること、さらに、3XTgアルツハイマー病(AD)モデルマウスの脳や、ヒトAD患者の脳でも観察された。興味深いことに、マウスの脳内にGNPATのmRNA発現を阻害するsh-RNAを微量投与するとミクログリアが活性化することが示された。以上から、GNPATは神経炎症に対する保護作用を有し、その欠如が、グリア細胞の活性化ひいてはアルツハイマー病などの神経変性疾患を惹起する可能性を示唆していた。以上の成果はすでに報告した (J Neurosci, 37 (15): 4074-4092, 2017)。 Plsが学習記憶に関与していることを明らかにするため、マウスの両側海馬へ、GNPATのsh-RNAを微量投与すると、学習行動が障害され、脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現量が低下していることを明らかにした。また、神経細胞で、Pls投与によりAktが活性化され、その結果p-CREBが増加し、BDNFの発現が増強することを明らかにした。最終的にPlsを含む飼料をマウスに6ヶ月与えると、コントロール食群と比較して水迷路学習行動が促進すること、この時海馬のAktの活性化によるBDNFの発現が増強していることを示し、その成果は現在論文投稿中である。
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Research Products
(8 results)