2014 Fiscal Year Research-status Report
新規生殖制御系への環境情報入力と三次元的相互作用、生活環に関する機能形態学的研究
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26460323
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小澤 一史 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60169290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 典生 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00285248)
岩田 衣世 日本医科大学, 医学部, 助教 (00582991)
石井 寛高 日本医科大学, 医学部, 講師 (20445810)
託見 健 日本医科大学, 医学部, 講師 (40553269)
肥後 心平 日本医科大学, 医学部, 助教 (50623922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Kisspeptin(キスペプチン) / GnRH / HPG軸 / 思春期 / 更年期 / エネルギー代謝調節シグナル / ストレス応答シグナル / 概日周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の視床下部 ―下垂体-性腺軸(HPG軸)の上流に、新規生理活性ペプチドであるKisspeptinを含有するニューロンが位置し、このKisspeptinニューロンが様々な内的・外的環境因子を統合して、従来のHPG軸に連絡する仕組みを解析することを本研究の目的としている。このため、①「光ファイバーを介した脳内微量光測定システム」を用いた非拘束・無麻酔下におけるラットKisspeptinニューロン、GnRHニューロン活性の連続測定, ②弓状核kisspepitinニューロンにおけるNeurokinin B、dynorphinの共局在に関する微細構造科学的解析, ③CRHニューロンの投射及びグルココルチコイド受容体(GR)の発現とKisspeptin-GPR54受容体-GnRH(HPG軸)におけるストレスへの反応機序の解析, ④エネルギー代謝の変動とKisspeptin- HPG軸の変化を解析すると共に、概日リズム調節機構と関連性に関する分子細胞生物学的解析, ⑤老化に伴うKisspetinを統合中枢とするHPG軸とエネルギー代謝調節、ストレス応答制御、概日リズム中枢との三次元神経回路構築解析を具体的研究課題として設定した。①については予定通り光ファイバーを介した脳内微量光測定システムの構築が出来、論文としてまとめている。また、②のKNDyニューロンにおける3つの神経ペプチドが別々の小胞に振り分けられることを、電子顕微鏡を用いて明らかにすることに成功し、その結果も国際英文論文に投稿中である。さらに、⑤の老化とKisspeptinニューロンについて、特にKNDyニューロンにおけるkisspeptin, NKB, dynorphinの3つの神経ペプチドの発現パターンの差違を見出し、これらの発現バランスの違いがいわゆる更年期におけるGnRH発現の変動に関わる可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要にも示したように、当初予定した、①本研究室で開発した「光ファイバーを介した脳内微量光測定システム」を用いた非拘束・無麻酔下におけるラットKisspeptinニューロン、GnRHニューロン活性の連続測定, ②弓状核kisspepitinニューロンにおけるNeurokinin B、dynorphinの共局在に関する微細構造科学的解析と、Kisspeptin分泌への関与に関する解析, ③CRHニューロンの投射及びグルココルチコイド受容体(GR)の発現とKisspeptin- GPR54受容体-GnRH(HPG軸)におけるストレスへの反応機序の解析, ④エネルギー代謝の変動とKisspeptin- HPG軸の変化を解析すると共に、概日リズム調節機構と連関したエネルギー代謝との関連性に関する分子細胞生物学的解析, ⑤老化に伴うKisspetinを統合中枢するとするHPG軸とエネルギー代謝調節、ストレス応答制御、概日リズム中枢との三次元神経回路構築の変動の解析,という5つの目標において①, ②については予定通りに、また⑤についても当初の予定以上にデータが集まっており、さらに③, ④の平成27年、28年での実験計画も前倒しで順調にスタートしており、当初の研究スケジュールを先行する状況で研究が動いている。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究目標の柱のうち、④エネルギー代謝の変動とKisspeptin- HPG軸の変化を解析すると共に、概日リズム調節機構と連関したエネルギー代謝との関連性に関する分子細胞生物学的解析, ⑤老化に伴うKisspetinを統合中枢するとするHPG軸とエネルギー代謝調節、ストレス応答制御、概日リズム中枢との三次元神経回路構築の変動の解析について、予定通り新規研究展開に着手しつつあるので、これをしっかりと検索し、当初の目的である新規生殖制御系の仕組みを十二分に解析する。さらに、これまでの研究過程における波及効果として、授乳期における生殖機能抑制や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)における生殖機能障害の神経科学的な解析が新たに加わって研究展開されており、これらも含めてKisspeptinニューロンの生殖神経制御系における役割を徹底的に検索、調査する
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Research Products
(22 results)