2014 Fiscal Year Research-status Report
痛みによる情動生成における側坐核内領域特異的ドパミン神経伝達の生理的役割の解析
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26460330
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井手 聡一郎 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30389118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬理学 / 痛み / 情動 / 側坐核 |
Outline of Annual Research Achievements |
痛みにより引き起こされる不安、嫌悪、抑うつなどの不快情動は、生活の質(QOL: Quality of life)を低下させ、精神疾患・情動障害の引き金ともなるため、情動的側面をも考慮した疼痛治療が求められている。本研究では、痛みによる情動生成における側坐核内領域特異的ドパミン神経伝達の役割を明らかにすることを目的とし、快・不快といった情動の両方向性に深く関与すると考えられる側坐核に着目し、痛みの情動的側面に対する役割について詳細な解析を行う。本年度は、側坐核shellの吻側領域に焦点をあて、痛みによる不快情動生成に与える影響を、条件付け場所嫌悪性試験を用いて検討し、ドパミンD2受容体拮抗薬Raclopride投与により痛みによる不快情動生成が有意に抑制され、ドパミンD1受容体拮抗薬 SCH23390投与ではCPAが抑制される傾向を確認した。また、酢酸ライジング試験を用いた検討においては、痛みの感覚的側面に対する影響は見られなかった。現在、免疫組織化学的解析において、側坐核shellの吻側と尾側領域において、痛みにより興奮する神経の分布の相違に関する検討を進めている。また、慢性疼痛下での報酬刺激誘発側坐核内ドパミン遊離変化に関する検討を進め、神経因性疼痛モデルラットにおいては、スクロース水処置によるドパミン遊離増加が抑制されることを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動薬理学的解析は順調に進んでいる。一方、神経逆行性トレーサーを用いた免疫組織化学的検討において3重免疫組織化学的解析の実験系に不具合があり、まずc-fos発現変化を指標とした神経興奮の領域特異性の解析を先に進めているため、全体としては、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
側坐核shellの吻側ならびに尾側領域にそれぞれ逆行性神経トレーサーを投与したラットを用い、調製した側坐核矢状脳切片における免疫組織学的検討を行うことで、痛み刺激負荷時に各領域に対して選択的に興奮して投射している神経路を見出すことを優先して進めていく。
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Causes of Carryover |
3月に購入予定であった抗体試薬が在庫切れのため、4月以降まで入荷が遅れてしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月に速やかに該当の抗体試薬を購入し、免疫組織化学的検討を進める。
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Research Products
(3 results)