2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒスタミンH3受容体の細胞内輸送と機能的シグナロソーム形成の分子基盤解析
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26460331
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
助川 淳 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (30187687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳澤 輝行 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90133941)
佐藤 岳哉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10312696)
斎藤 将樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50400271)
倉増 敦朗 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90302091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Gタンパク質共役型受容体 / ヒスタミンH3受容体 / シグナロソーム / 細胞内輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
DRiP78は小胞体に局在し、GγサブユニットとGPCRの会合を促進するタンパク質である。申請者は既に、Gタンパク質共役型受容体 (GPCR) の一つであるヒスタミンH3受容体のカルボキシル (C) 末端にDRiP78が結合することを見出した。そこで本研究では、H3受容体C末端のDRiP78との結合に関わるアミノ酸配列を探索するとともに、DRiP78がH3受容体の細胞内局在において果たす役割を解析した。大腸菌で産生したタンパク質を用いたin vitro pull-down assayを行った結果、H3受容体C末端中のF419, R421, K425、K426およびK431がDRiP78との結合に関わることが見出された。さらにDRiP78を発現させ、cell-based ELISA法により解析したところ、DRiP78の発現量依存的にH3受容体の細胞表面発現量が減少した。また、その細胞表面発現量の減少はプロテアソーム阻害薬によって回復したこと、およびH3受容体はDRiP78発現下でユビキチン化されたことより、H3受容体にDRiP78が結合すると、ユビキチン-プロテアソーム系によるH3受容体の分解が亢進することが見出された。一方、申請者らは、DRiP78とのin vitroにおける結合が弱いGPCRとして成長ホルモン放出ホルモン(GHRH) 受容体を見出した。GHRH受容体の細胞表面量はDRiP78によって影響を受けなかったことから、DRiP78はH3受容体に特異的に作用することが示された。以上のことから、DRiP78はH3受容体のC末端と直接結合し、H3受容体を小胞体に局在させ分解系に導くだけでなく、H3受容体の細胞表面へのトラフィッキングを特異的に抑制することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により、H3受容体およびDRiP78の遺伝子発現系を作製し、それによってH3受容体の細胞表面発現量をDRiP78が抑制することを示すことが出来た。一方、H3受容体を介するシグナル伝達におけるDRiP78の役割については解析することが出来なかったものの、H3受容体C末端中に、DRiP78との結合に関与するアミノ酸配列について検討することが出来た。そのため、当該年度に予定していた研究は、全体的におおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
H3受容体はGi共役型受容体であることから、H3受容体を介するシグナル伝達におけるDRiP78の役割について、主にcAMP産生とERK1/2リン酸化について検討する。 H3受容体の細胞内局在およびシグナル伝達におけるRab8の役割についても検討する。Rab8のノックダウンを行うほか、活性型変異体および不活性型変異体の強制発現を行う。細胞内局在については、免疫染色法、in situ PLA (proximity ligation assay) 法およびcell-based ELISA法にて検討し、シグナル伝達については主にcAMP産生とERK1/2リン酸化について検討する。 また、H3受容体C末端中に、Rab8とDRiP78それぞれの結合に関与するアミノ酸配列を比較し、かつRab8とDRiP78がそれぞれ同時にH3受容体に結合するかどうか検討する。
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Causes of Carryover |
受領額累計から支出額累計を差し引いた残額が小額であり、使用目的が限定されたため次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定された実験計画にしたがって予算を使用する。
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