2016 Fiscal Year Annual Research Report
Role of EPRAP on the pathophysiology of chronic inflammatory diseases
Project/Area Number |
26460338
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 学 京都大学, 医学研究科, 講師 (90511907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マクロファージ / 慢性炎症 / シグナル情報伝達系 / 翻訳後修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
EPRAPは、マクロファージにおいて、プロスタグランジンE2受容体EP4の新規細胞内ドメイン結合蛋白として同定され、NF-kB1 p105との結合を介して、炎症性刺激後のMEK-ERK経路の活性化を特異的に抑制する。EPRAPが介在する細胞内シグナル伝達機構の解明は、炎症性疾患のみならず難治性慢性疾患の新たな治療標的として期待される。 本研究では、独自に開発したEPRAP遺伝子改変動物を用い、in vivoにおけるEPRAPの機能を検討した。これまで、EP4シグナルによる炎症性腸疾患の進展抑制に、EPRAPが下流分子として決定的な役割を果たすことを報告した(Nakatsuji M., et al. PLoS Genet, 2015)。 平成28年度は、ブレオマイシン誘発肺臓炎モデルを用いて、in vivoにおけるEPRAPの抗炎症機能を改めて立証し、さらにミュータントEPRAPを用いた検討から、PP2AによるEPRAPの翻訳後修飾酵素(脱リン酸化)と、抗炎症作用発現における脱リン酸化の機能的意義を証明し、EPRAPが、新規治療標的であるとともに、病勢を反映するバイオマーカーとしても期待されることを明らかにした (Higuchi S., et al. J Immunol, 2016)。一方、脳内炎症モデルを用いた検討では、EPRAP遺伝子欠損による炎症抑制が認められ、脳内免疫担当細胞であるミクログリアに対しては、EPRAPは催炎症性に働くことを明らかにした(Fujikawa R., et al. Am J Pathol, 2016)。 我々の研究成果から、炎症性腸疾患など難治性慢性疾患において、EP4-EPRAPシグナルが新規の診断・治療標的となる可能性が強く示唆された。今後、さらなる臨床的意義の検証や、EPRAPを標的とした創薬・体外診断薬開発への橋渡しを目指したい。
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