2014 Fiscal Year Research-status Report
聴・平衡覚の確立・維持における低分子量G蛋白質の役割-聴毛と耳石に注目して-
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26460340
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上山 健彦 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 准教授 (80346254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 博史 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00515223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Cdc42 / Rac / 内耳有毛細胞 / 聴力 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
内耳有毛細胞特異的Cdc42-KOマウスが、1.「正常聴覚獲得後に多彩な聴毛の形態異常による緩徐進行性の高度難聴を呈する」、2.「Cdc42は聴毛の形成過程よりむしろ維持期に機能する」、3.「Cdc42は聴毛膜に局在する」、4.「その活性化は聴毛の上半(先端)部の方が下半(基)部よりも強い(FRET法により証明)」等の4つの事実を世界に先駆けて明らかにし、報告した。本研究は、有毛細胞特異的Cdc42 KOマウスが、後天(老人)性難聴のモデルとしても使用が可能で、補聴器以外有効な対処法のない老人性難聴の新規治療法開発に利用可能である。 ヒトでは7種存在する活性酸素産生酵素(NADPH oxidase)の1つであるDuox(の内耳での発現を確認後、Duoxによる活性酸素産生メカニズムの解明を行った。Duoxは活性酸素種(ROS)の中でもスーパーオキシドではなくH2O2を特異的に産生することが知られていたが、そのメカニズムは不明であった。本研究で、Duox1, Duox2のA-loopのいずれもがDuoxの特性であるH2O2の特異的分泌に際し、スーパーオキシドのH2O2への変換に関与することを明らかにした。近年、活性酸素種が老人性難聴、抗癌剤やアミノグリコシド系抗生物質による難聴の発症に関与するとの報告が蓄積されるようになってきており、本研究が、内耳における活性酸素種由来の聴力障害の発症メカニズムの解明の糸口になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内耳有毛細胞特異的Cdc42-KOマウスが、1.「正常聴覚獲得後に多彩な聴毛の形態異常による緩徐進行性の高度難聴を呈する」、2.「Cdc42は聴毛の形成過程よりむしろ維持期に機能する」、3.「Cdc42は聴毛膜に局在する」、4.「その活性化は聴毛の上半(先端)部の方が下半(基)部よりも強い(FRET法により証明)」等の4つの事実を世界に先駆けて明らかに出来た。 また、内耳にも発現する活性酸素産生酵素の一つであるDuoxについて、Duox1, Duox2のA-loopのいずれもがDuoxの特性であるH2O2の特異的分泌に際し、スーパーオキシドのH2O2への変換に関与することを明らかに出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に進んでいるので、今後、耳石形成に必須であるROSの発生源細胞の同定とROSを利用した耳石形成メカニズムの詳細解明に労力を集中していく予定である。 具体的には、申請者が作製完了したマウス(ROS産生細胞が蛍光を発するマウス)を用いてROSの発生源細胞の同定を行い、ROSを利用した耳石形成メカニズムの解明には前記のマウスの内耳組織を用いたDNAマイクロアレイ法と質量分析法により行う予定である。 これらが出来れば、メニエル病をはじめとする原因不明の平衡覚障害の解明と治療法開発に繋げることが夢ではない考えている。
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Causes of Carryover |
2つのメインテーマのうち一方の研究成果を順調に出すことが出来たため、予想外に経費を節約できた。2つ目のメインテーマは、紆余曲折が予測され、来るべき障害に備えて、節約できた経費を次年度以降に繰り越しておくことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
内耳器官培養の回数を増加させるための経費、耳石の成分解析の外注依頼のための経費、走査顕微鏡を用いた実験のサンプル作成のための経費に用いる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Identification and characterization of PKCγ, a kinase associated with SCA14, as an amyloidogenic protein2015
Author(s)
Takahashi H, Adachi N, Shirafuji T, Danno S, Ueyama T, Vendruscolo M, Shuvaev AN, Sugimoto T, Seki T, Hamada D, Irie K, Hirai H, Sakai N, Saito N
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Journal Title
Hum Mol Genet
Volume: 24
Pages: 525-539
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Maintenance of stereocilia and apical junctional complexes by Cdc42 in cochlear hair cells2014
Author(s)
Ueyama T, Sakaguchi H, Nakamura T, Goto A, Morioka S, Shimizu A, Nakao K, Hishikawa Y, Ninoyu Y, Kassai H, Suetsugu S, Koji T, Fritzsch B, Yonemura S, Hisa Y, Matsuda M, Aiba A, Saito N
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Journal Title
J Cell Sci
Volume: 127
Pages: 2040-2052
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The role of PIX-β phosphorylation at serine 340 and 583 by PKC in the dopamine release2014
Author(s)
Shirafuji T, Ueyama T, Yoshino K, Takahashi H, Adachi N, Ago Y, Koda K, Nashida T, Hiramatsu N, Matsuda T, Toda T, Saito N
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Journal Title
J Neurosci
Volume: 34
Pages: 9268-9280
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] RANTES/CCL5 mediated-biological effects depend on the s 1 yndecan-4/PKC signaling pathway2014
Author(s)
Maillard L, Saito N, Hlawaty H, Friand V, Suffee N, Chmilewsky F, Haddad O, Laguillier C, Guyot E, Ueyama T, Oudar O, Sutton A, Charnaux N
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Journal Title
Biology Open
Volume: 3
Pages: 995-1004
Peer Reviewed / Open Access
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