2015 Fiscal Year Research-status Report
末梢性代謝型グルタミン酸受容体による熱痛覚過敏および鈍麻の分子機構解明
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26460348
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
西尾 眞友 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80156041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益岡 尚由 金沢医科大学, 医学部, 講師 (80509307)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代謝型グルタミン酸受容体 / TRPV1 / 後根神経節 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究より、一次求心性神経の後根神経節 (DRG) 細胞において、代謝型グルタミン酸受容体mGluR1/5の活性化により侵害受容器TRPV1の機能が多層性に調節されていることを明らかにしてきた。すなわち、短時間mGluR5を活性化するとTRPV1電流応答が一過性に増大するとともに、電位依存性カルシウムチャネルの持続的抑制を引き起こす。また、mGluR1/5を長時間活性化すると機能的にTRPV1を発現する細胞の割合が増加することも見出した。本年度は、長時間グルタミン酸受容体を活性化させた際の機能的なTRPV1発現細胞の増加の作用機序とその生理学的意義について検討した。 DRG培養細胞にグルタミン酸受容体作用薬を長時間作用させたのちに、TRPV1アゴニストのcapsaicin による細胞内カルシウム応答を測定した。その結果、capsaicin誘発細胞内カルシウム応答の大きさに変化はなかったが、2時間以上グルタミン酸受容体作用薬を処置した培養細胞でcapsaicin 応答性細胞の割合が有意に増加していることが判明した。本作用は、mGluR1および5の刺激作用によるものであり、ホスホリパーゼC, プロテインキナーゼ C, ERK, p38 MAPキナーゼなどのシグナル伝達系を介していることを明らかにした。また、mGluR1/5によるcapsaicin応答性細胞の増加は、TRPA1アゴニストに対してカルシウム応答を示すDRG細胞で顕著であることが明らかになった。マウスを用いた行動薬理学的検討では、本作用が侵害熱感受性の増大と関連していることも明らかになった。以上の結果より、長時間のmGluR1/5の活性化はTRPA1発現侵害受容細胞におけるTRPV1発現細胞の割合を増加させて、熱過敏性を増大させることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は後根神経節細胞におけるmGluR1/5とTRPV1の相互作用について、その分子機構と生理学的的意義に迫ることが目的である。本年度は、mGluR-TRPV1の相互作用の一つである、mGluR1/5を長時間活性化すると機能的なTRPV1を発現する細胞の割合が増加する機構について明らかにすることができた。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度、mGluR1/5による予想外の作用が見つかったため、研究計画の遅れあった。しかし、その後大きなトラブルなくデータの収集が進んでいる。今後は、計画通りに研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の順序の一部変更により、本年使用する予定だった物品費が当初の見積もりよりも少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、当初本年度に予定していた研究計画を次年度研究計画とともに実施する予定である。したがって、次年度は、繰越金を含めた全額を使用する予定である。
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