2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞リプログラミングへのシチジンデアミナーゼの関与
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26460363
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
長岡 仁 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 克哉 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60733508)
木村 正志 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40260575)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 再生医学 / DNA脱メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、iPS細胞作成過程をモデル系として、細胞リプログラミングに重要なDNA脱メチル化反応に関与することが示唆されているAID等シチジンデアミナーゼならびにTETファミリータンパク質の役割を解析し、さらにはリプログラミング効率化への寄与について検討することを目的とする。 マウス胎児線維芽細胞(MEF)に山中4因子を導入しiPSクローンを作成した。iPSでのAID, Apobec1, Tet1, Tet2発現をRT-PCRで確認し、MEFに比べてTet1, Tet2の発現上昇が見られるが、Apobec1の発現上昇はクローンにより一様ではなくまちまちであった。AIDはMEFと比較して全く発現の増加を認めなかった。 次に、一過性、もしくはごく一部の細胞でのAID遺伝子発現がiPS細胞樹立に関与する可能性を検討するため、AID発現の履歴を単細胞レベルでモニタリングできるトランスジェニックマウスから樹立したMEFを用いてiPSを作成し、AID発現履歴を示すiPSクローンの有無を観察したところ、AID発現履歴を示すiPSクローンは見出せなかった。以上の結果から、通常のiPS誘導過程において内在性のAID発現が起こり細胞リプログラミングに関与する可能性は極めて低いと結論した。 シチジンデアミナーゼの過剰発現によるリプログラミングにへの影響について検討するために、AID及びApobec1タンパク質をiPS誘導時に過剰発現させ、iPS化効率の比較を行ったが、大きな影響は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画ではTETタンパク質についてのgain of function実験も終了させる予定であったが、TETのクローニングに予想外に手間取った。また、Loss of function実験については、当初ノックダウン実験を行う予定であったが、遺伝子編集の技術がここ1年の間に利用可能となってきたため、これを用いる方が効果的と思われたので、その導入に余分の時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験で、シチジンデアミナーゼの細胞リプログラミングへの関与の可能性が低いことが示唆されているので、当初考えていたデアミナーゼ利用によりiPS作成効率化を図るということの有効性については、慎重に検討していく必要がある。デアミナーゼに加えて、TETファミリーの関与についてごく最近その重要性が示されつつあるので、それをさらに検討するとともに、次の段階として、標的特異的な脱メチル化システムについても検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
TETファミリーの関与の解析がクローニングの遅れに伴い平成28年度にずれ込んだ。当初のノックダウンを行うという計画を変更し、より確実なロスオブファンクションの実験を行うためゲノム編集の実験系を導入し立ち上げるのに時間を要した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越分は、実験の若干ずれ込みに伴い、平成28年度必要となったトランスフェクション実験用試薬(約4.5ml)と、ゲノム編集及びDNAメチル化状態の確認に伴う塩基配列の決定費用(約200反応分)に充当する。
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