2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the role of an unknown gene in germ cell epigenetic reprogramming
Project/Area Number |
26460367
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田代 文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40136213)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / エピジェネティック制御 / 遺伝子 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
C2H2型Znフィンガータンパク質のZfp296は、これまでにDNA 結合性転写因子として幹細胞の多能性維持や悪性腫瘍の発症・進行に影響すると考えられてきたものの、その詳細は不明である。そこで、生体内におけるZfp296の役割を明らかにするため、Zfp296KO マウスを作製し、その表現型の解析を進めた。 Zfp296KOマウスは、胎仔成長や生殖細胞の分化に異常をきたし、Zfp296が胎仔組織の細胞内においてヘテロクロマチンに局在することを確認した。次に、GST-Zfp296を用いたプルダウン実験および質量分析解析によりZfp296結合性タンパク質を検出した。その結果、Zfp296は、構成的ヘテロクロマチンやNuRD複合体を形成する複数のエピジェネティック制御因子(HP1-α、-β、-γやDnmt1、Dnmt3b、ATRX、Mbd3、Mta1、Mta2)と結合することが分かった。そこで、ヘテロクロマチンに特徴的なエピジェネティック修飾であるH3K9メチル化について注目し更なる解析を進めたところ、Zfp296の過剰発現が、培養細胞においてヒストンメチル化酵素のSuv39h1によるH3K9メチル化を抑制することを確認した。また、Zfp296KOマウスではH3K9メチル化レベルが胎生時期依存的に全身的に高く、特にクロマチン免疫沈降解析で構成的ヘテロクロマチンの主体をなすサテライトDNA配列のH3K9メチル化レベルが高いことが分かった。 本研究では、Zfp296 が転写因子としての働き以外に、構成的ヘテロクロマチンの分子としてH3K9メチル化を抑制することを新たに見出し、胎生期において重要な働きを担うことを明らかにした。このZfp296によるエピジェネティック制御は、Zfp296による幹細胞の多能性制御や悪性腫瘍細胞の増殖を解明する糸口となるかもしれない。
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