2015 Fiscal Year Research-status Report
免疫応答における生体内のPIKfyveの役割の解明
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26460368
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
川崎 拓実 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (60584414)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PIKfyve / マクロファージ / 肺 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホスファチジルイノシトール-リン酸化酵素;PIKfyveの生体内での役割を明らかにするため、PIKfyveのエキソン5をloxP配列で挟んだPIKfyve floxマウスを作製し、マクロファージ特異的にcreリコンビナーゼを発現させるlysm-creマウスと掛け合わせを行った。その後、マクロファージ特異的にノックアウトマウスを作製し、解析を行った。これまで、さまざまな組織における組織マクロファージの割合について調べたところ、肺に存在するマクロファージの割合が減少していることが明らかになった。肺には主に2種類のマクロファージが存在し、協調的に作用することにより、病原体排除と恒常性維持に寄与していることが知られている。PIKfyve欠損マウスでは、そのうち肺胞マクロファージとよばれる細胞の増殖が抑制され、分化になんらかの異常があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、十分に解析可能な個体マウスが得られたため、個体マウスにおける解析を開始した。初めに、各組織におけるマクロファージ、好中球の浸潤割合、また、活性化を調べたところ、PIKfyve―koマウスにおいて肺のマクロファージ特異的に分化抑制がかかっていることが明らかになった。肺のマクロファージ特異的に何らかの機能が欠損していることが明らかになったことから、さらにダニの抗原部位を用いたアレルギー誘発実験を行ったところ、koマウスは、コントロールマウスに比べアレルギー状態が増悪化することが分かった。そこで、まず肺胞マクロファージの分化阻害のメカニズムを明らかにするため、さまざまな胎児期における肺を摘出し、PIKfyve欠損マクロファージがどの段階で阻害を受けているのかを調べた。その結果、胎児期における初期のマクロファージの増殖と分化には影響がないものの、出生後3日以降のマクロファージの分化が阻害されていることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でPIKfyve koマウスでは、肺のマクロファージ特異的に何らかの機能阻害をおこすことにより表現型が現れることが明らかとなった。また、詳しく調べることにより胎児期初期における分化増殖には影響がないものの、出生後3日以降の分化増殖に盈虚があることが明らかとなった。そこで今後は、どのようなメカニズムで分化阻害されているかを明らかにする。 ダニの抗原を用いたアレルギーモデルでは、koマウスで増悪化したことから、今後どのようなメカニズムで増悪化しているかを明らかにする。アレルギー誘導後に肺胞内洗浄液から、どのような免疫細胞が浸潤しているのか調べる。また、肺の切片を作製し、免疫染色により肺への細胞浸潤を調べる。肺のマクロファージはフローサイイトメーターにより分離し、分離した細胞をダニ抗原で刺激し、誘導されてくる遺伝子の発現をジーンチップ、リアルタイムPCRにより解析を行う。初期の解析では、肺に浸潤している抑制性T細胞の割合が減少していることが示唆されている。
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Causes of Carryover |
マウス施設の大規模修繕のため、一時的にマウスの使用が抑制されたため、予定より実験が繰り越しされたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度はマウス施設があらたに稼働したため、繰り越された実験及び本年度予定していた実験を行う。
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Research Products
(3 results)