2015 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア内チロシンキナーゼc-Src調節とその生物学的意義に関する研究
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26460372
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / チロシンキナーゼ / リン酸化 / 活性酸素 / プロテオーム解析 / トランスジェニックマウス / B細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究成果は次の通りである。テーマ① 1)c-Src複合体のプロテオーム解析:ミトコンドリアに限局してFLAG-c-Srcを発現するRPE細胞より抗FLAG抗体を用いてc-Src複合体を回収した。既報に則り得られたc-Src複合体からプロテオーム解析のためのペプチドサンプルを調製した。このサンプルをMS/MS解析し複合体構成タンパク質を同定すると共に、化学修飾の有無についても詳細に解析した。また、いくつかの異なる条件で培養した細胞を用いて、刺激に伴う複合体の変化を解析した。現在、MS/MS解析を進めている段階である。2)c-Src活性化の再構成:ミトコンドリア内c-Src活性化機構を明らかにするために、まず基質ペプチドを用いてin vitroでc-Src活性を測定した。その結果、正常な条件で培養した細胞のミトコンドリア内ではc-Src活性が常に高いレベルに維持されていることが判明した。現在、その分子基盤についてさらに詳しい解析を行っており、ミトコンドリア特異的なc-Src活性調節機構を明らかにする。テーマ② B細胞受容体シグナル伝達系の解析:c-Srcリン酸化不可変異体(SDHAY215F)をB細胞特異的に発現させた独自のトランスジェニックマウスの解析を詳細に行った。主な解析は、抗体産生能、FACSによる各種B細胞表面マーカーの発現解析、B細胞受容体のシグナル伝達に重様な受容体の自己リン酸化、PLCγ2のリン酸化、細胞内カルシウムイオン濃度の変化、などである。これらの解析により一定レベル以上の成果が得られたと判定できたので、論文を作成し投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は全体的に進展していて、ほぼ計画通りの成果をあげている。テーマ①については、培養条件やある種の薬物処理によりミトコンドリア内c-Srcキナーゼの複合体や活性が変化することを見いだしている。再構成系確立テーマについては一部修正し、まずc-Srcキナーゼ活性が高く維持されるメカニズムを解明する。テーマ②については、論文投稿までこぎ着けたので順調に推移しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ① c-Src複合体の解析:正常細胞のミトコンドリア内においてc-Src活性が高いレベルに維持される分子基盤を理解する。また、いくつかの異なる条件で培養した細胞を用いたMS/MS解析の結果を総合して、c-Src活性がどのような条件で低下するのかを明らかにする。これらにより、ミトコンドリア特異的なc-Src活性調節機構を明らかにする。また、c-Src活性低下による活性酸素産生の経路を明らかにする。 テーマ② B細胞受容体シグナル伝達系の解析:論文を出版する。論文アクセプト後、トランスジェニックマウスの移設または保存方法を検討し、できれば28年度内に完了する。
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Causes of Carryover |
予算計上していなかったTG動物保存費用を捻出するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度にTG動物保存を確実に実施する。余剰分については物品費等に充てる。
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