2015 Fiscal Year Research-status Report
ST2タンパク質(分泌型IL-33受容体)によるLPSシグナル阻害機構の解明
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26460376
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
柳沢 健 自治医科大学, 医学部, 教授 (50182366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多胡 憲治 自治医科大学, 医学部, 講師 (20306111)
太田 聡 自治医科大学, 医学部, 助教 (40528428)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ST2 / LPS / TLR4 / MD2 / IL-33 |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-33の受容体であるST2Lタンパク質は一回膜貫通性タンパク質であるが、選択的スプライシングにより産生される分泌タンパク質、ST2はIL-33に細胞外で結合してその作用を阻害するとされている。しかし、われわれは分泌型ST2タンパク質が単独でLPSの作用を抑制することを見いだした。その作用機構を解明するために、昨年度報告したST2-GFP融合タンパク質を用い、ST2タンパク質とLPS受容体を構成するTLR4, CD14, MD2タンパク質のうち、TLR4, CD14とのST2タンパク質の結合能を検討したところ、結合を検出できなかった。さらにST2タンパク質がLPSと受容体の結合を阻害する可能性を検討したが、LPSとLPS受容体発現細胞の結合は影響を受けなかった。現在、さらにST2とTLR4受容体複合体との相互作用を検討するため、MD2タンパク質の強制発現、ノックダウンに着手したところである。 また、ST2Lと結合するタンパク質を質量分析計によりさらに検討したところ、IFITM3、Rps27a、Retinitis Pigmentosa 1-like 1などのいくつかの結合タンパク質が同定された。このなかで、IFITM-3はInterferonによって誘導されるタンパク質として報告されているものだが、リソソームによる分解を介してST2Lを分解し、IL-33のシグナルを負に制御することが判明した。また、IL-33はST2の関与しない経路によりサイクリンDの発現を上昇させ、線維芽細胞をRasがトランスフォームする過程に不可欠なことを発見し、これは英文論文としてアクセプトされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LPS受容体複合体を構成するTLR4とCD14遺伝子のクローニングと強制発現は順調に進んだが、MD2遺伝子のクローニングにおいて報告されている配列と異なるミューテーションをもつものと、異なる長さのクローンが複数とれてきて、報告されている配列に変換するのに時間がかかった。また、LPSと受容体複合体の結合を検討するのに、報告のあったFITC-LPSを用いてFACSにより解析する方法が検出が難しく、放射性ラベルしたLPSを用いた方法を検討しなければならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性ラベルのLPSを用いた細胞への結合の解析をさらに進め、LPSと受容体の結合にST2が影響を及ぼすかをさらに検討する。また、MD2のクローニングに成功したので、レトロウイルスを用いた発現系を構築し、ST2タンパク質との結合を検討する。また、TLR4, CD14, MD2を三つとも発現した細胞を用い、レポータ-遺伝子の発現によりST2タンパク質の作用機転を検討する。さらに、ST2Lタンパク質と結合することを発見したいくつかのタンパク質の結合部位をIL-33と比較しながら解析し、ST2タンパク質とLPS受容体の結合との比較から共通な結合モチーフがあるかを検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたFACSを用いたLPSの結合の解析が困難であったため、高価なRIラベルしたLPSを用いることとなったが、海外取り寄せ品であったため、会計的に今年度中に間に合わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のRIラベルしたLPS購入に使用する。
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