2015 Fiscal Year Research-status Report
PHA2、HSAN2Aの原因遺伝子であるWNKの神経系における機能解析
Project/Area Number |
26460386
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (30451925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | WNK / PHAII / HSAN2A |
Outline of Annual Research Achievements |
進化的に高度に保存されているSer/ThrキナーゼファミリーであるWNKは、偽性低アルドステロン症II型(PHAII)及び遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーのタイプ2A型(HSAN2A)の原因遺伝子であることが分かって来た。PHAIIの主な所見は、低レニン性高血圧であるが、精神発達遅延などを伴うことが知られているなど、両疾患共に神経系に病態が見られるが、その発症機構はいまだ解明されていない。私は、ショウジョウバエをモデル動物として用いた解析から、WNKが神経分化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。そこで、本研究では、WNKの神経系での機能解析を行うことで、PHAII及びHSAN2Aの発症機構の解明につなげたいと考えている。前年度において、WNKがNotchシグナル及びその制御因子であるNLKと相互作用するという結果を得た。そこで、本年度の計画通り、その詳細を解析するため、NLKによるWNKのリン酸化部位の決定を行い、その変異体を作製し、Notchとの相互作用に対する影響を解析することを試みた。しかしながら、WNKのリン酸化部位が複数存在すること、ほ乳類とショウジョウバエでNLKによるWNKのリン酸化部位が保存されていない可能性が高いことから、いまだ部位の特定には至っていない。また、神経への分化前後において、Notchシグナル伝達経路におけるNLKとWNKの相互作用が変化することを、前年度において示したため、その機構の解明を試みた。NLKが、MAMLやCSLとNICDの結合阻害に関与することから、WNKもこれらの複合体形成に何らかの関わりがあることが予想されたが、残念ながらWNKとの相互作用は観察できなかった。今後は、Notchシグナル伝達経路の他の因子との相互作用を解析し、WNKとNotchシグナル伝達経路の詳細な相互作用機構を解明していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
WNKとNotchシグナル伝達経路の相互作用の機構の解明を行うことで、WNKの神経系における機能解析を行い、偽性低アルドステロン症Ⅱ型及び遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチータイプ2A型の発症機構の解明に繋げることを目的としているが、本年度において、Notch及びNLKとの相互作用の解明が予定より進まず、来年度にまで解明を持ち越したことから、来年度の計画を予定通り実行できないため、やや遅れていると考えている。なるべく早く機構の解明を行い、来年度の計画を実行できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の計画がやや遅れてしまったため、平成28年度においては、まず遅れを取り戻すべく、WNKとNotchシグナル伝達経路との相互作用の機構解明を優先して行い、神経系における、WNKの機能解析を進めたい。その後、当初の計画通り、偽性低アルドステロン症Ⅱ型及び遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチータイプ2A型のモデルマウスを用いて、その機構の推定の確認を行う。さらに、ショウジョウバエでの発症モデルの構築も行い、マウスモデルと比較検証することで、発症機構の解明に繋げたい。
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