2015 Fiscal Year Research-status Report
Runx2コンディショナル欠損マウスを使用した成体間葉系幹細胞の機能解析
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26460387
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宝田 剛志 金沢大学, 薬学系, 助教 (30377428)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / Runx2 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨粗鬆症とは、骨吸収が骨形成を上回る状態である。減少した骨量を回復させるには骨形成の活性化が必要であるが、骨形成促進剤の開発は充分に進んでいない。Runx2を全身的に欠損することで骨化が完全に障害されるため、開発したRunx2コンディショナル欠損マウスを使用することで、「どういったMSCでRunx2が骨を作るのに重要なのか?」といった問いに答えを出すことができる。また、「その重要な細胞は、どのような集団を形成しているのか?」といった問題に取り組むことで、骨を作りだすMSCの細胞生物学的な特徴づけができ、骨形成促進剤の開発に有用な情報が得られるのではないかと考えた。従来は、どういったMSCが、前骨芽細胞や骨芽細胞となり、骨形成に関与するのかが分かっておらず、そのため、Runx2が骨芽細胞分化系列のどういった段階で重要であるのかも長らく不明であった。既存の複数のMSCマーカーを用いたマウス遺伝学的解析とフローサイトメトリー解析を組み合わせた解析結果から、その内の2つ、Prx1とSca1 が共陽性なMSCが最も幹細胞性の高いMSCであり、まずSca1陰性なり、次にPrx1陰性 なOsterix陽性細胞となり、そして成熟した骨芽細胞となる、という骨形成への分化過程の詳細を明らかにした。また、Prx1+Sca1+細胞からPrx1-Sca1-Osx+細胞になる段階までの間に、Runx2が骨形成のうえで必須の働きを持つことが分かった(Takarada et al, Development, 2016)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨形成を担うMSCを個体レベルで特定することに成功した。今後はこの情報をもとに、分化系譜の詳細を分子レベルで明らかとすることが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
明らかとしたMSCの特徴づけの情報を利用し、それぞれの分化段階の細胞をCell sortにより分離することで、in vivoでの分化段階特異的な遺伝子/タンパク質発現、転写制御機構の網羅的解析(トランスクリプトーム、プロテオミクス解析)を実施する。
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