2016 Fiscal Year Annual Research Report
Novel molecular mechanisms that regulate tumor invasion and metastasis by association of cancer cells with surrounding stroma cells
Project/Area Number |
26460389
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
扇田 久和 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50379236)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | がん転移 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞とその周囲組織の間質細胞との相互作用が、がんの浸潤・転移に及ぼす影響を検討するため、がん細胞として前立腺がん細胞株LNCaP細胞を、間質細胞として前立腺ストローマ細胞を用い、これら異種細胞間の直接的な接触によりがん細胞で発現量が変化している遺伝子をDNAマイクロアレイアッセイでゲノムワイドに解析した。その結果、発現量が有意に増加している55個の遺伝子を同定できた。その中で、機能がよく分かっていないが、遺伝子産物が細胞表面に存在すると想定されるMol-1(仮称)分子に着目してさらに解析を行った。 Mol-1を過剰発現させたLNCaP細胞をオスヌードマウス前立腺に細胞移植すると、親株のLNCaP細胞を移植した場合と比較して、有意にリンパ節や肺への転移が増加した。そのメカニズムとして、Mol-1過剰発現LNCaP細胞では、チロシンリン酸化酵素c-Srcの活性化が上昇するために、低分子量Gタンパク質Rac1の活性化因子であるVav2のリン酸化(活性化)が増加して、Rac1が過剰に活性化し細胞運動能が亢進していることを見出した。また、LNCaP細胞以外に乳がん細胞にMol-1を過剰発現させた場合ついても、同様のシグナル伝達活性化および細胞運動の促進を認めた。 以上より、本研究によってがんの浸潤・転移を促進する分子機構を新たな観点から見出すことが出来た。Mol-1の作用を阻害することで、がん死の原因の大部分を占めるがん転移を抑制できる可能性があり、本研究の成果は、今後新たながん治療薬を開発する上で参考になると考える。
|