2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanisms of neutrophil extracellular traps (NETs) formation
Project/Area Number |
26460405
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
通山 由美 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (70362770)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 好中球 / NETs |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、好中球によるNeutrophil extracellular traps (NETs)形成の分子機構の解明である。NETsは、好中球が投網のごとく変形して微生物を包み込む殺菌機構である。平成27年度までの成果として、ヒト末梢血由来の好中球を利用して、in vitroに、PMA (Phorbol 12-Myristate 13-acetate)およびカンジダ菌を用いてNETsを誘導し、以下の段階に分けて解析する方法を確立した。まず、1)核の形態が変化して分葉核を喪失し(30分~1時間)、その後、2)クロマチンが弛緩して核が膨潤し(1~2時間)、最終的には、3)核膜と細胞膜が崩壊して、NETsを放出する(3~4時間)。そこで平成28年度は、NETsに重要な化学反応を見出すため、ヒト好中球を精製して、未刺激時およびPMA刺激後1,2,3時間のサンプルについて、iTRAQR法による網羅的質量分析をおこない、その結果を相対定量解析してNETs形成過程で有意に変動する候補タンパク質を探索した。刺激2時間後には、クロマチンの基本構造である核酸DNAとヒストンタンパク質の結合が緩んでいると判断し、2時間後に未刺激時と比して20倍以上の増加が認められるペプチド(アミノ酸の翻訳後修飾を含む)を検索した。その結果、15種類のタンパク質の断片として81種類のペプチドを見出した。これら15種類のうち、4種類が細胞骨格タンパク質であるアクチンおよびアクチン結合タンパク質であった。NETs形成時の急速な形態変化に関与すると考えている。残りの11種類のうち、4種類が、EFハンド型カルシウム結合ドメインを持つタンパク質群であった。その中でも、特に顕著な増加が認められた2種類のタンパク質については、遺伝子変異型好中球モデルを作成し、NETs形成過程における機能について検討を進めている。
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