2015 Fiscal Year Research-status Report
生殖腺の性特異的分化に関わる細胞特異的エピジェネティック修飾の時空間的変化
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26460410
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横山 俊史 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10380156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 信彦 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10209223)
三木 崇範 香川大学, 医学部, 教授 (30274294)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 性分化 / 真性半陰陽 / Sry / 左右差 / 性腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
性逆転症系統遺伝子組換え動物における真性半陰陽個体および野生型個体における性分化関連因子のタンパク質レベルでの時空間的な発現解析を行い,Sryの発現時期の4-5時間程度の遅延が生じていること,雄性化の実行因子であるSox9の発現時期および発現部位がさらに遅延して,キャッチアップされないことを明らかとした.さらにこの発現差には同表現型の中でも差が認められ,今までの研究結果と合わせると,雄性生殖腺の形成程度との相関が推測された.加えて,SryのHMG boxの配列解析を行い,既報の動物と遺伝子変異が起きていないことを確認した.その一方で,背景とするB6亜系統間で表現型に差が存在したため,常染色体領域の性分化への関与が推測された(発表1,2;論文1). 哺乳類における性分化不全とくに左右において異なる表現形を示す機構を解明するため,同じ脊椎動物で特に雌において左右で性腺の発達が異なるある鳥類の性分化機構との比較を行った.その結果,哺乳類と同様に雄性生殖腺の発生および維持に重要な働きを行うセルトリ細胞の細胞運命に左右差が存在し,特に雌において重要な左性腺の発生機序が雄の性腺発生にも影響している可能性が示唆された.すなわち左性腺皮質内にはセルトリ細胞が存在し,発生に従ってその一部が髄質内に移行することが明らかとなった(発表3,5,7,投稿中).この差を生じさせる背景には,雌の右性腺機構,換言すると雄の右性腺を退縮させない機構が存在している.そこで,性決定後の性腺発生時期における遺伝子発現についてマイクロアレイおよびパスウェイ解析を行った結果,転写因子EGR1およびタンパク質結合タンパク質SOCS2の関与が推測された(発表4,6).この点については,器官培養条件を用いて検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の遂行は予定よりやや遅れているが,その原因は今回報告した性分化における遺伝的背景の多様性,性腺内の細胞種および,次に示す通り使用する遺伝子組換え動物に由来している.これらは,以下の記載の対策より取り戻すことが可能と考えている. 研究に用いる真性半陰陽個体となる遺伝子型の動物の出現割合が低く,十分量の実験個体を得る事が出来ていない.胎子の両側の性腺における発現量を比較しているため,材料として得られる遺伝子量は極めて少ない.加えて同一遺伝子型より真性半陰陽,半陰陽,雄性,雌性と表現型の異なる個体が得られる実験動物であるが,胎子の段階では将来どの表現型となるのか判別が付かない. これらの点については,野生型の動物を用いたマイクロアレイ・パスウェイ解析を先行させたため,解析を行う群数ならびに関連遺伝子の減少が可能となっている.性腺内には複数種の細胞が存在するためアレイ解析時のノイズとなったが,既報のデータとバイオインフォマティクな手法で比較することで,解析に成功している.この中では研究開始時には想定されていなかった性分化に関する新たな知見が得られている.さらに,エピジェネティック解析ならび発現干渉実験に必要な器官培養系についても,改良により目的に叶う従来より優れた系が確立出来ている. 遺伝子組換え動物の出現頻度の改善については,目的遺伝子組換え動物体の直接的な子孫による改善を検討したが,半陰陽体からは効率的な繁殖が難しかった.この点については,交配数の増加で補うことが効率的と判断して推進している.
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Strategy for Future Research Activity |
性分化に関する知見はこの1年でも大きく前進しており,性分化関連因子の発現制御が当初予期していたよりも複雑な因子が関与することに加えて,厳密な時空間的制御を受けることが明らかとなっている. 申請者らの現段階における検討結果でも,野生型個体における性分化関連因子の調節機構の差を認めると共に,その時空間的な制御の複雑さが明らかとなっている.さらに,真性半陰陽個体においては雄性化の実行因子Sox9の発現制御の撹乱が大きな差となって表出しており,これによる機構解明は重要であると考えている. 本年度はこの状況を踏まえ,10.5-11.5日齢を中心に1/12日単位でグループ分けを継続して,性分化関連因子の時空間的な発現解析を行うとともにエピジェネティック修飾の解析を行う.前項(現在までの達成度)で示したように,限られた目的動物を有効に使用するため野生型で確立された器官培養系を用いて,多面的な発現撹乱の確立を行うように留意する.マイクロアレイ・パスウェイ解析の結果からSry 発現期に絞り,Sry調整タンパク因子群ならびにSox9のプロモーター領域に焦点を当てて,エピジェネティック修飾の関与を明らかにする. その一方で,今回明らかとなった性腺内の左右差がゲノム修飾に与える影響についても継続的に検討し,上記知見と合わせることで時空間的な変異について大きな知見を得ることが可能であると考えている.
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Ontogenic and morphological study of gonadal formation in genetically-modified sex reversal XYPOS mice.2015
Author(s)
UMEMURA Y., MIYAMOTO R., HASHIMOTO R., KINOSHITA K., OMOTEHARA T., NAGAHARA D., HIRANO T., KUBOTA N., MINAMI K., YANAI S., MASUDA N., YUASA H., MANTANI Y., MATSUO E., YOKOYAMA T., KITAGAWA H., HOSHI N.
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Journal Title
The Journal of Veterinary Medical Science
Volume: 77
Pages: 1587-1598
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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