2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膀胱尿路上皮癌でのエストロゲン受容体βの役割とその臨床応用
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26460412
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 保宏 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80396499)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膀胱尿路上皮癌 / ERβ / エストロゲン合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト膀胱尿路上皮癌の本邦での発生頻度は近年増加傾向にある。しかし、膀胱尿路上皮癌に発現しその進展に関する調節因子の詳細は十分には解明されていない。最近の報告で、ヒト膀胱尿路上皮癌にエストロゲン受容体(ER)の発現が示され、エストロゲンが膀胱尿路上皮癌の発生や進展に関与している可能性が提唱されてきている。今回、我々は外科手術で得られたヒト膀胱尿路上皮癌組織検体(113例)においてERとエストロゲン合成・代謝酵素の発現を免疫組織化学的手法にて検討した。これらの検体では、ERαの発現はみられなかったがERβが高発現していた。また、エストロゲン合成・代謝酵素であるアロマターゼ、STS、ESTの発現もみられた。ERβやこれらのエストロゲン合成・代謝酵素の発現度に性差はみられなかった。一方、後者の発現度と癌の深達度(pTa, pT1, pT2)の間に有意な負の相関がみられた。また、膀胱癌培養細胞株でT24、J82細胞において、Western blotting法によりERβの蛋白発現、また定量RT-PCR法にてアロマターゼ、STS、ESTのmRNA発現が確認された。以上から、ヒト膀胱癌では局所で合成されたエストロゲンが、癌細胞に発現するERβに作用して癌の病態に影響を及ぼし、またこれらの酵素の発現状況が癌の進展と関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定されていたヒト検体における免疫組織化学的検索方法が終了し、また今回の研究施行に適切な培養細胞株が2種類確保できた。また、これらの培養株でERβの発現が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
1. T24、J82細胞株に、ERβの特異的アゴニストや拮抗薬を添加し、細胞の増殖・浸潤能、アポトーシス、各腫癌関連因子の発現等への影響をMTT assay、invasion assay, apoptosis screening kit, 定量RT-PCR、Western blotting法等によって解析する。
2. 上記の細胞株に、ERβの特異的アゴニストや拮抗薬を添加し、EGFRを含む42種類のチロシンキナーゼ受容体のリン酸化について、Human Phospho-Receptor Tyrosine Kinase Antibody Array (Ray Biotech) を用いて確認する。また下流の増殖シグナルであるMAPKのリン酸化についても、Human Phospho-MAPK Antibody Array (Ray Biotech) を用いて確認する。
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Research Products
(1 results)