2014 Fiscal Year Research-status Report
前立腺がん幹細胞でのインテグリンβ4/ErbB2/c-Metシグナリングの解明
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26460414
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉岡 年明 秋田大学, 医学部, 講師 (80302264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 洋平 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70400512)
大森 泰文 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90323138)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前立腺がん幹細胞 / インテグリンβ4 / ErbB2 / c-Met / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,インテグリンβ4(以下β4)が関与する以下の3点, 1) 前立腺がん幹細胞における,インテグリンβ4/ErbB2/c-Metシグナリングの詳細な解明とそのメカニズムについて検討.2) β4と相関するがん幹細胞のマーカーの検索とその相互関係の検討.3) ErbB2/c-Metシグナリングを活性化するNeuregulin(NRG)やHepatocyte growth factor(HGF)を産生する細胞の同定とその産生に関わるメカニズムの解明を目的とする. 平成26年度の実績としては, 目的2)に対して, ヒト前立腺癌細胞DU145のβ4-Knockout(KO)細胞とControl細胞を用いてsphere形成試験を行い, Control細胞はsphereを形成するがβ4-KO細胞は形成できないことを確認した. またsphereを形成するControl細胞を, ErbB2抑制剤のLapatinib及びMet抑制剤のcrizotinib で処理したところ, sphere形成が抑制されることから, β4/ErbB2/c-Metシグナリングが, マウスの前立腺癌と同様にヒト前立腺癌においても, がん幹細胞の自己複製能に影響していることを確認し報告した [第73回日本癌学会総会(2014)]. 目的1)に対して, 前立腺癌発症マウス(PB-TAg)においてβ4のC末側シグナルドメインの欠損(β4-1355T)を導入した, PB-TAg-β4-1355TマウスとPB-TAg-β4-WT(wild type)マウスの前立腺腫瘍から,FlowcytometryでsortしたSca1陽性/β4陽性(Double Positive, DP)のがん幹細胞用いて, 実験を行いDNA microarrayを施行する予定だったが, soatingがうまくいかずDP細胞が充分に採取できなかったため, DNA microarrayを施行するには至っていない. 目的3)に関する検討は, 研究計画書に従って, 来年度以降から行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の目的2)に関しては, ヒト前立腺癌細胞においても, マウスの結果と同様に, β4がsphere 形成能に影響することから, がん幹細胞の自己複製能に影響していることを明らかにした. またErbB2抑制剤のLapatinib及びMet抑制剤のcrizotinib 処理にてsphere形成が抑制されたことから, β4が影響を及ぼす経路として, β4/ErbB2/c-Metシグナリングが, ヒト前立腺癌においても働いている可能性が示唆された. 研究の目的1)に関しては, β4のC末側が欠損したPB-TAg-β4-1355Tマウスとβ4がwild typeのPB-TAg-β4-WTマウスの前立腺腫瘍から, Sca1陽性/β4陽性(DP)のがん幹細胞用いて実験を行う予定だったが, soatingがうまくいかずDP細胞が充分に採取できなかったため, DNA microarrayを施行できず計画より遅れている. 研究の目的3)に関する検討は, 研究計画に従って来年度以降からスタートする. 以上から, 目的の達成度に関してはやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に得られた結果をもとに, 実験計画書に基づいて以下の実験を行う. 研究の目的1)に関しては, Flowcytometryでsoatingに使用する抗体のロットの変更のみならず, 抗体の変更を行うなどして, マウスの前立腺腫瘍からDP細胞を安定して採取できるようにして実験を進め, DNA microarrayを施行し実験計画書に従って検討を進めていく. 研究の目的2)については, sphere形成試験を行ったDU145のβ4-KO細胞とControl細胞を用いて, 未刺激群とNRGやHGFの刺激群の計3種類においてDNA microarrayを行い, β4と関連して変化するがん幹細胞マーカーについて, 遺伝子レベルまた蛋白レベルで検討を進める. 研究の目的3)では, 前立腺癌発症マウス(PB-TAg)のPINや腺癌の組織標本を作製し, NRGやHGFの免疫組織染色を行い, その発現細胞を検索し, 細胞の同定まで進める.
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Causes of Carryover |
研究の目的1)に関して, 前述したマウスの前立腺腫瘍から,Sca1陽性/β4陽性(DP)のがん幹細胞用いて実験を行う予定だったが, Flowcytometryによるsoatingがうまくいかず, これらの細胞を用いたDNA microarrayを施行できなかった. そのため予算未使用が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Flowcytometryでのsoatingに使用する抗体に問題がある可能性が高いため, 新たなロットの抗体購入や他の抗体を購入し, 安定して目的の細胞を採取できるようにする. また目的の細胞が充分に採取された際は, DNA microarrayを行い検討を進めるために使用する.
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Research Products
(1 results)