2016 Fiscal Year Research-status Report
バレット食道のテロメア長測定:日米欧のバレット食道の定義統一のために
Project/Area Number |
26460431
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
相田 順子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (80425678)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | バレット食道 / バレット腺癌 / テロメア / 染色体不安定性 / Q-FISH法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年注目されているバレット腺癌とその発生母地とされるバレット粘膜については本邦でも関心が高まっている。我々はバレット腺癌の組織発生学的論文(Hum Patho. 2015)などから噴門型粘膜もバレット腺癌の発生母地となり得る可能性を指摘してきた。今回バレット腺癌内視鏡標本について組織切片を用いたQ-FISH法を用いて腸型粘膜と噴門型粘膜のテロメア解析を行い、噴門型粘膜の染色体不安定性を証明し、日欧のバレット食道の定義の統一に寄与したいと考え本研究を行った。 検体としてドイツバイロイトのVieth教授より供与されたバレット腺癌EMR標本のパラフィンブロックから今年度も検体を追加し、合計250例約2700個のブロックから標本を作製、鏡検により癌に腺上皮の接している症例で、検体内に噴門型粘膜と腸型粘膜の両者を認める症例を選択した。合計50例の解析を行い、噴門型上皮、腸型上皮、バレット腺癌の各群についてテロメア長を計測した。 各群のテロメア長解析の結果、long-segmentバレット粘膜では噴門型上皮のテロメア長が有意に短縮していた。また腸型粘液を産生する癌の症例では周囲粘膜のテロメア長が短縮する傾向が見られ、周囲粘膜で腸型粘膜が優位な症例では噴門型上皮のテロメア長が短い傾向を認めた。しかし、いずれの条件においても各群内の比較では噴門型上皮と腸型上皮のテロメア長には有意差は見られなかった。 以上の結果よりいずれも噴門型と腸型上皮でテロメア長、ひいては染色体不安定性に差が見られなかったことから、腸型粘膜のある症例のみをバレット食道と定義してフォローする意義はなく、噴門型粘膜も同様にフォローすべきと考えられた。以上の概略について日本病理学会、日本食道学会、IAPなどで学会報告済である。現在以上の結果等について英語論文を作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標数よりは若干少なかったが、有意な結果を得ることができた。英語論文作成は期間内に完成しなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
間に合わなかったため出版に要する費用について期間延長を申請した。今年度内に英語論文を完成させ出版することを目標とする。
|
Causes of Carryover |
前年度より症例の解析にやや遅れが生じていた。年度内に解析を追加した結果、症例数は結果的に目標数をやや下回ったが、有意な研究結果を得ることができたため解析は完了とした。しかしながら年度内には英語論文の作成には至らなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在作成中である結果をまとめた英語論文の英文校正および出版費用とする。
|