2015 Fiscal Year Research-status Report
新規シグナル経路GLI1-CXCR4による肉腫悪性形質制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
26460443
|
Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
稲熊 真悟 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80410786)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | GLI1 / 滑膜肉腫 / CXCR4 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に樹立したGLI1及びLacZ導入滑膜肉腫細胞株SW982を、免疫不全マウス尾静脈より注射し、肺転移能を比較したところ、GLI1遺伝子導入株で肺転移能の亢進を観察した。ヘッジホッグシグナル経路が、滑膜肉腫細胞のin vitroにおける遊走能のみならず、生体内での肺転移巣の形成をも亢進させることを、実験的に証明した。 一方で、ヒト正常間葉系幹細胞に、GLI1および、滑膜肉腫細胞にて観察されるSYT-SSX1融合遺伝子を導入し、cDNAマイクロアレイを用いて、発現遺伝子の変化を網羅的に解析し、これらGLI1および融合遺伝子の下流に存在する遺伝子群を同定した。今後は同定された遺伝子(群)を介した滑膜肉腫の発生、進展メカニズムの解析を進めるとともに、滑膜肉腫の診断に有用な免疫組織学的マーカーの検討も行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レンチウイルスを用いた遺伝子安定発現細胞株の樹立と、それら細胞株を用いたGLI1の機能解析および、ヒト正常間葉系幹細胞株におけるGLI1, SYT-SSX1融合遺伝子の標的遺伝子群解析、同定が円滑に行われたため、順調に実験計画を遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
網羅的遺伝子発現解析によって同定された、GLI1およびSYT-SSX1融合遺伝子の標的遺伝子(群)を解析し、これらが滑膜肉腫の発生、進展に関与する分子病理学的なメカニズムを同定することを試みる。また、滑膜肉腫の診断に有用な免疫組織学的マーカーの同定を目的として、滑膜肉腫をはじめとする複数の軟部腫瘍組織を免疫組織学的に解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
比較的速やかに、無駄なく実験計画を遂行することができ、試薬やプラスチック製品などの消耗品費が抑えられた点があげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
cDNAアレイ解析の結果、同定されたGLI1, SYT-SSX1融合遺伝子の標的遺伝子群に関して、培養細胞を用いた分子生物学的解析や、免疫組織を用いた免疫組織学的解析に用いてその機能を解析する予定である。その際に使用される、試薬、抗体、プラスチック製品を購入する予定である。
|