2014 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞組織球症の解析-質量分析装置を用いた新規バイオマーカーの同定-
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26460451
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
村上 一郎 鳥取大学, 医学部, 准教授 (80548701)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / 質量分析器 / 血漿 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランゲルハンス細胞組織球症(以下LCH)患者血漿を、質量分析器を用いて解析した。 LCHは、メルケル細胞ポリオーマウイルス(以下MCPyV)との関連に於いて、大きく二亜型に分けられる事を見出し、論文報告した(Hum Pathol. 2014 45(1):119-26)。異常ランゲルハンス細胞様細胞の増殖組織と予後に基づいて規定されたリスク臓器(risk organ(以下RO))への浸潤の有無とMCPyVが患者血漿中に検出されるか否かとの間に相関があるというものであり、LCH-RO (+):患者血漿中にMCPyV-DNA (+);LCH-RO (-):患者血漿中にMCPyV-DNA (-)と対応していた。 上記及び今までの報告(Virchows Arch. 2013 462(2):219-28; Virchows Arch. 2011 459(2):227-34.)と併せてLCHの発症メカニズムに関して総説を報告した(Cell Communication and Signaling 2015, 13:13)。 LCH-RO (+)とLCH-RO (-)との差異は、上記の如く、血漿中のMCPyV-DNAの有無との関連が判明したが、LCH-RO (-)をさらに分ける二亜型(multisystem LCH及びsingle-system LCH(以下MS-LCH、SS-LCH))に関しては、共にLCH病変部にMCPyV-DNAがPCR法にて増幅され、その点に於いて、両者の差異は明確ではなかった。 しかし、2011-2013年度科研(23590426)の質量分析器を用いた解析に於いて得られた、MS-LCH患者血漿及びSS-LCH患者血漿間で有意差を示すピークの同定がほぼ終了しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MS-LCH患者血漿とSS-LCH患者血漿間で有意差を示すピークは22ピークであった。その内、強度、同定可能性が高いと考えられた2ピークについて検討を進め、1ピークの同定がほぼ終了し、学会報告、論文報告予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回同定したタンパクは急性期タンパクに相当するタンパクであり、我々のLCH仮設:「腫瘍原性形質を有する異常ランゲルハンス細胞が何らかのトリガーに過剰反応した疾患」における過剰反応の程度と関連があると考えられる。自然免疫、獲得免疫との関連、MCPyV感染パターン(初感染か既感染か)等が複雑にLCH発症様式に関連している事が示唆され、これらの解明に役立つ解析を進める。
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Causes of Carryover |
LCH-RO (+)患者血漿とLCH-RO (-)患者血漿以外の検討も研究計画に入れて使用額を計算していたが、同定の過程に於いて、目的タンパクのペプチド精製に不適格なもの、逆相クロマトグラフィーによる精製後にピークが観察されず、濃縮・精製されないペプチドである事が判明したもの等があり、今年度の解析を進める事が困難であり、次年度使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
突然変異を起こす活性を持つactivation-induced cytidine deaminase (AID)という酵素は、本来Bリンパ球の遺伝子に作用して抗体産生の多様性を増す働きをもっているが、過剰に発現するとがんを引き起こすことも知られている。 ヒトでもピロリ菌に感染した胃や肝炎ウイルスに感染した肝臓の細胞でAIDが産生され、遺伝子の変異を引き起こすことが分かり、がんの原因になっている可能性が示唆されている。 LCHがMCPyV感染に関連する事、急性期タンパクがLCH亜型に関連する事を踏まえ、LCH病変部をAID等を用いた免疫組織化学的検討を加え、検討を進める。
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[Journal Article] Interleukin-1 loop model for pathogenesis of Langerhans cell histiocytosis2015
Author(s)
Ichiro Murakami, Michiko Matsushita, Takeshi Iwasaki, Satoshi Kuwamoto, Masako Kato, Keiko Nagata, Yasushi Horie, Kazuhiko Hayashi, Toshihiko Imamura, Akira Morimoto, Shinsaku Imashuku, Jean Gogusev, Francis Jaubert, Katsuyoshi Takata, Takashi Oka, Tadashi Yoshino
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Journal Title
Cell Communication and Signaling
Volume: 13
Pages: 13
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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