2015 Fiscal Year Research-status Report
タイト結合に存在するジスルフィド結合の機能解明:酸化還元センサーとしての可能性
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26460455
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
田中 敏 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30374250)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タイト結合 / redox / ジスルフィド結合 / ユビキチン / thioredoxin |
Outline of Annual Research Achievements |
タイト結合蛋白occludinのジスルフィド結合とoccludin安定性に関る分子機構や安定性変化の機序を解明するために以下の実験を行い、結果を得た。 1、FLAGタグやGFPタグを付加したoccludinの野生型およびシステイン変異型の細胞内分布を蛍光顕微鏡で観察したところ、システイン変異型では、occludinの細胞内の集積が確認できた。また、低酸素では細胞膜上のoccludinが比較的保たれる一方で、細胞内のoccludin分解が進む事をウェスタン解析で確認した。システイン変異型では細胞内のoccludinがより分解しやすい事がわかった。 2、ユビキチンE3リガーゼITCH結合部位を変異させたoccludinは野生型に比べ、明らかにポリユビキチン化が低下しており、ユビキチンE3リガーゼITCHがoccludin安定性に重要であることが示された。 3、ユビキチンE3リガーゼITCH変異型occludinは低酸素環境での安定性が増すことから、ITCH結合部位近傍のリシンにユビキチンが結合すると予想し、一部のリシンについてのリシン変異型occludinを作成し、低酸素環境での安定性を測定した。しかし低酸素下での安定性はリシン変異型と非変異型に大きな差が見られなかった。 4、共免疫沈降で、システイン変異型occludinがE3リガーゼITCHと結合している事が示された。その一方で、E3リガーゼITCHをノックダウンした細胞を低酸素状態で培養したが、システイン変異型occludinの分解抑制は十分に確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
OccludinとE3 リガーゼITCHの結合について興味深いデータが得られている。また、低酸素状態とoccludinの細胞内分布の変化について解析が進んでいる。その他、変異型occludin発現ベクターを多種類にわたって作成し、それらを用いた解析が進んでいる。しかし、Thioredoxin family蛋白についての解析が十分ではない。全体としてはおおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の実験を引き続き行うと共に、以下の実験も行う。 1、ユビキチンE3リガーゼITCH結合部位を変異させたoccludinとITCHの結合性の有無を確認する。また、低酸素やH2O2曝露状態でのoccludinとITCHの結合性に変化があるか検討する。 2、野生型occludinや変異型occludinと他のタイト結合蛋白、特にtricellulinやMARVELD3、claucin-1、claudin-3、claudin-4、JAMとの結合性について、種々の条件で検討する。 3、occludinやtricellulinのジスルフィド結合について、それに関るthioredoxin family蛋白の検出を目指し、共免疫沈降や質量分析を試みる。また、thioredoxin family 蛋白の他、thioredoxin family蛋白の酸化還元に関ると考えられている、ERO1aのノックダウンがタイト結合蛋白の安定性に影響するか検討する。 4、野生型occludinや様々な変異型occludinを導入した細胞株について、細胞増殖性、細胞遊走性など、細胞生理学的な変化がないか検討する。
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