2014 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍幹細胞の観点からみた腫瘍の多様性を制御する機構の解明
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26460470
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森井 英一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10283772)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 腫瘍幹細胞 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍の多様性モデルとして、リンパ球形質細胞リンパ腫を取り上げた。この腫瘍は、Bリンパ球と形質細胞の両者の性格を有することが知られている。そこで、リンパ球形質細胞リンパ腫細胞株であるMWCL-1を検討したところ、すべての細胞がBリンパ球と形質細胞の両者の性格を有するわけではなく、Bリンパ球のみの性格しか持たない細胞、Bリンパ球および形質細胞のどちらの性格も持たない細胞が混在していることがわかった。そこで、種々の性格をもつ細胞群を単離して検討したところ、Bリンパ球、形質細胞のどちらの性格も持たない細胞からBリンパ球のみの性格しか持たない細胞へ、そしてBリンパ球のみの性格しか持たない細胞から形質細胞とBリンパ球の両者の性格を持つ細胞へ移行することがわかった。Bリンパ球、形質細胞のどちらの性格も持たない細胞はアポトーシス耐性で、化学療法に抵抗性の性格を有していた。以上の結果より、多様な性格をもつリンパ球形質細胞リンパ腫の中で、腫瘍幹細胞的な性格をもつ細胞群を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍の多様性を探る目的で、多様な細胞群で構成されているリンパ腫を詳細に検討し、腫瘍幹細胞的な性格をもつ細胞群を同定することができた。現在、さらに解析を進め、この細胞群で高発現する分子を同定しており、次年度にこの腫瘍の多様性が生まれる機構を解明することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍幹細胞的な性格を有する細胞群で発現するタンパク質を同定し、腫瘍の多様性が生み出される機構を解明する。また、現在はリンパ腫をターゲットとしているが、形態的に多様性をもつ肺腺癌や、子宮内膜癌を用いて、多様性が生み出される機構をさらに解析する計画を立てている。
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Causes of Carryover |
解析している腫瘍をリンパ腫に特化したことより、初期の計画より実験に要する費用が少ない状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リンパ腫以外に、肺腺癌や子宮内膜癌に対象を広げ、さらに細胞株の種類も増やして解析する計画である。
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