2014 Fiscal Year Research-status Report
独自の自然転移モデルを活用した小細胞肺癌の治療標的の探索
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26460481
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
坂本 修一 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所 沼津支所, 主任研究員 (60346070)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / 自然転移モデル / 足場非依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌は進行が速い上に転移し易いため、最も予後不良な癌の一つとなっている。その転移や癌進展の分子機構については不明な点が多く、有効な治療標的も確立されていない。我々は独自にヒト小細胞肺癌の自然転移モデルを開発しており、本課題では、このモデルを活用して小細胞肺癌の新たな治療標的を同定することを目指している。 1)高転移性亜株の解析:親株と比較して高い足場非依存性増殖能を持つ亜株について、親株と遺伝子発現プロファイルを比較し、顕著な発現差を認めた遺伝子群を同定した。その中から臨床検体アレイデータを元に絞り込んだ一部の遺伝子についてsiRNAによりノックダウンを行い、足場非依存性増殖能への効果を調べたが、明白な影響を与えるものは無かった。また、高転移性亜株では複数の接着因子の発現が低下していたため、これらの接着因子が足場非依存性増殖能に関与するのか検討中である。 2)同所移植巣と転移巣での遺伝子発現プロファイルの比較:自然転移モデルの肺同所移植巣(肺)及び遠隔転移巣(骨、副腎)から磁気マイクロビーズにより癌細胞を回収した。それらの癌細胞よりRNAを抽出し、DNAマイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルの解析を行った。その結果、80数個の遺伝子が3倍以上の発現変動を示すことがわかった。その一部についてはsiRNAによるノックダウンを行ったが、in vitroでの増殖やマトリゲル浸潤能に影響するものは無かった。 3)レンチウイルスベクターによるshRNA発現系の導入:任意の遺伝子をノックダウンした細胞を自然転移モデルに用いるために、レンチウイルスベクターによる持続的なshRNA発現系を導入した。この系を用いて小細胞肺癌の予後と発現量が相関する膜タンパク質についてノックダウンを行った。現在そのノックダウン株の自然転移モデルでの造腫瘍性及び遠隔転移能を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「高転移性亜株の解析」及び「同所移植巣と転移巣での遺伝子発現プロファイルの比較」から、発現変動に基づいて転移/進展に関与する遺伝子の候補群を得ることが出来た。また、これらの候補遺伝子を自然転移モデルにおいて評価する為に必要な技術である「レンチウイルスベクターによるshRNA発現系」の導入も完了した。以上の進捗状況から「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
「高転移性亜株の解析」及び「同所移植巣と転移巣での遺伝子発現プロファイルの比較」により得られた候補遺伝子群について、レンチウイルスベクター系を用いてshRNAノックダウンを行い、転移/癌進展への寄与を評価する。この進捗状況をみながら、ゲノムワイドshRNAライブラリーの導入を検討する。 また、「高転移性亜株の解析」については、遺伝子発現プロファイルに加えてmiRNAの発現プロファイルも解析し、足場非依存性増殖能獲得のメカニズムの解明を試みる。
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Causes of Carryover |
一部の物品をキャンペーン価格にて購入出来た為に、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に入って一部物品の価格が上がったため、その差額分に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)