2015 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病血管障害発症における血管安定性制御システム破綻の病態的意義に関する研究
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26460491
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼丸 満穂 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00380626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 康博 九州大学, 大学病院, 講師 (20380389)
米満 吉和 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40315065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 微小血管障害 / 血管新生 / Angiopoietin / Tie |
Outline of Annual Research Achievements |
血管安定性を制御するAngiopoietin/Tieシステムと糖尿病病態との関係を、特に受容体の可溶型変換機構に着目し研究を遂行していきた。これまでに、糖尿病病態における細胞内代謝異常としての細胞内シグナル伝達分子protein kinase C (PKC)の活性亢進を基盤とし、血管内皮細胞が発現するチロシンキナーゼ型受容体Tie-1(グリコシレーションの違いにより高分子量Tie-1と低分子量Tie-1の二種類が発現している)の可溶型変換とPKC活性との関係に注目し、PKC活性亢進により高分子量Tie-1のみが可溶型に変換されることが明らかとなっていた。平成27年度においては、このグリコシレーションの違いによるPKC活性依存性Tie-1可溶型変換の特性が、いかなる生物学的意義を持つのかを中心に研究を行った。その結果、1) Tie-1/Tie-2複合体形成に関与するTie-1は高分子量Tie-1であること、2) Tie-2のアゴニストAng-1による刺激で主として低分子量Tie-1がTie-2依存性にトランス活性化を受ける事、3) PKC活性亢進による高分子量Tie-1の可溶型変換によりAng-1依存性低分子量Tie-1のトランス活性化が抑制される事、が明らかとなった。このことは、Ang-1によるTie-2ならびにTie-1の活性化状態は、生体環境に応じて、PKC依存性高分子量Tie-1可溶型変換機構を介し厳密に制御され、血管新生誘導に寄与しているものと推測される。一方、持続的なPKC活性亢進をもたらす糖尿病病態では、この厳密な制御機構が破綻している可能性があり、糖尿病における微小血管障害発症の分子基盤として重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
in vitroの研究成果としては、良好な進捗状況であるものの、そのin vitroの現象が、in vivoにおいて実際に機能しているか、ないし意義ある現象であるのかを確認する方法が極めて困難であり、in vivoにおける検証実験が進捗していない。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroでの成果は、再現性を確認するとともに、英語論文にして一般公開にまで進捗させる。また、Tie-2と複合体を形成していない低分子量Tie-1がいかにしてAng-1によりTie-2依存性のトランス活性化を受けるのかを検討して行く。また、このTie-1可溶型変換機構の糖尿病病態への関与をin vivoでどのように検討出来るかを分担研究者とともに考えて行く。
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Causes of Carryover |
当初予定していたin vivoにおける検証実験で用いる動物関連費が支出されなかったことや、ELISAなどの高額な試薬がの使用量が、当初の予定よりも少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
in vivoの実験に必要な動物関連費用、学会の交通費、論文投稿料、英文公正料等に使用する。
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Research Products
(1 results)