2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study regarding pathophysiological significance of failure of vessel stability-induced system in diabetes mellitus-associated microvasculopathy
Project/Area Number |
26460491
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼丸 満穂 九州大学, 医学研究院, 助教 (00380626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 康博 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20380389)
米満 吉和 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40315065)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 微小血管障害 / 血管新生 / Angiopoietin / Tie |
Outline of Annual Research Achievements |
血管安定性を制御するAngiopoietin/Tieシステムと糖尿病病態との関係を、特に受容体の可溶型変換機構に着目し研究を遂行していきた。チロシンキナーゼ型受容体であるTie-1の単独のシグナルがいかなるシグナルであるかをVEGFR-2-Tie-1キメラ遺伝子をクローニングし、VEGF-E刺激による細胞内シグナル関連分子のリン酸化を検討したものの、他のチロシンキナーゼ型受容体では認めないTie-1特異なシグナル伝達機構を同定するに至らなかった。一方、糖尿病病態では細胞内代謝異常としての細胞内シグナル伝達分子protein kinase C (PKC)が持続的に活性亢進状態であることが知られており、PKC活性化と血管内皮細胞が発現するTie-1(グリコシレーションの違いにより高分子量Tie-1と低分子量Tie-1の二種類が発現している)の可溶型変換との関係を検討した結果、1) PKC活性亢進により高分子量Tie-1のみが可溶型に変換されること 、2) Tie-1/Tie-2複合体形成に関与するTie-1は高分子量Tie-1であること、 3) Tie-2のアゴニストAng-1による刺激で主として低分子 量Tie-1がTie-2依存性にトランス活性化を受ける事、4) PKC活性亢進による 高分子量Tie-1の可溶型変換によりAng-1依存性低分子量Tie-1のトランス活性化が抑制される事、が明らかとなった。このことは、Ang-1によるTie-2ならびにTie-1の活性化状態は、生体環境 に応じて、PKC依存性に変化することを示しており、持続的なPKC活性亢進をもたらす糖尿病病態では、このAng/tieシステムの厳密な制御が破綻し、糖尿病における微小血管障害発症の分子基盤として重要である可能性が示唆された。しかし、システム破綻の詳細なメカニズムは明らかにし得ず今後の課題となった。
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