2014 Fiscal Year Research-status Report
KPCマウスを用いた膵癌微小環境を標的とした新薬の同定
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26460496
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐野 誠 日本大学, 医学部, 助教 (70339323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮入 伸一 日本大学, 薬学部, 教授 (50209855)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 浸潤性膵管癌 / 遺伝子改変マウスモデル / 創薬開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
浸潤性膵管癌は膵癌全体の90%以上を占め、未だに早期診断・治療が困難な悪性腫瘍である。特に、術後再発例や切除不能症例においては未だに予後不良であり、従来から用いられている抗癌剤とは作用メカニズムが異なり、癌細胞と間質をも包括的にとらえた創薬開発が必要であると考える。本研究においては、多様なチロシンキナーゼ阻害活性を有するインディルビンに着目し、膵管癌特異的なインディルビン誘導体の同定を目的とする。また、膵管癌患者と同様に間質形成が再現される膵管癌の自然発症モデルマウスを用いることによって、臨床応用を念頭に置いた新たな治療戦略を見出す。 平成26年度においては、インディルビン誘導体のライブラリーのなかから、膵管癌細胞と線維芽細胞のスフェロイド形成(三次元凝集)ならびに細胞増殖を阻害する化合物をスクリーニングした。膵管癌細胞としては、Ptf1a-Cre, LSL-Kras(G12D), Trp53 flox, Ink4a floxマウスの膵管癌(膵原発巣)から樹立した悪性度の高い細胞株を用い、線維芽細胞としてはNIH/3T3細胞を用いた。 その結果、NIH/3T3細胞のスフェロイド形成には影響を示さないが、膵管癌細胞ならびに膵管癌細胞と線維芽細胞との共培養におけるスフェロイド形成と細胞増殖を阻害するインディルビン誘導体8種類を見出すことが出来た。さらに、同誘導体の溶解度を高めることにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
その理由として、研究計画書の第1項目「インディルビン誘導体のin vitro一次スクリーニング」を予定通りに終え、8種類の有望なインディルビン化合物を得ることができた点が挙げられる。また、同インディルビン誘導体をカルボキシル化することにより、溶解性の問題を改善することができ、本研究を大幅に進展させることができた点が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
一次スクリーニングで有望であったインディルビン誘導体8種類に関して、膵管癌の自然発症マウスモデルを用いた抗腫瘍効果の判定を迅速化させる。具体的には、Pdx1-cre, LSL-Kras(G12D), Trp53 floxマウスを作製し、インディルビン誘導体の抗腫瘍効果ならびに浸潤・転移の有無を病理組織学的に解析する。
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Causes of Carryover |
マウスの輸入・繁殖が遅れたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、膵管癌の自然発症マウスモデルを用いてインディルビン誘導体の抗腫瘍効果を判定する。研究費は、3系統のマウスの購入、繁殖・メンテナンス、ジェノタイピング、サンプリングならびに組織学的解析等に関わる費用として使用する予定である。
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