2014 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化マウスにおける樹状細胞を介したHIV感染伝播動態のin vivo解析
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26460500
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
寺原 和孝 国立感染症研究所, その他部局等, 主任研究官 (50469954)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒト化マウス / 骨髄系細胞 / HIV / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はHIV-1感染伝播における樹状細胞の役割についてヒト化マウスモデルで明らかにすることを目的とする。これまで我々は重度免疫不全NOD/SCID/Jak3 nullマウスにヒト臍帯血由来造血幹細胞を移植することによりヒト化マウスを作出するシステムを構築してきた。H26年度はこのように作出したヒト化マウスにヒト由来サイトカインであるGM-CSFおよびFlt3Lの発現プラスミドをin vivo transfection法により導入し、樹状細胞を含めた骨髄系細胞の分化向上について検討した。まず、血中のサイトカインについて解析した結果、GM-CSFおよびFlt3Lはプラスミド非導入群では検出されないものの、プラスミド導入群では導入後3日目で両サイトカインともに検出された。続いて、プラスミド導入後10日目の脾臓および骨髄におけるヒト骨髄系細胞の頻度について解析し、プラスミド非導入群と比較したところ、脾臓・骨髄ともにCD11c(low) CD123- およびCD11c+ CD123- 細胞(マクロファージまたは古典的樹状細胞)の増加が認められた。なお、CD123+ 細胞(形質細胞様樹状細胞)の頻度はプラスミド導入群とプラスミド非導入群間で有意な差は認められなかった。また、プラスミド導入群ではプラスミド非導入群よりも骨髄系細胞におけるHLA-DRの発現頻度ならびに発現強度が高かった。以上の結果から、ヒト化マウスへのin vivo transfection法によるヒト由来サイトカイン(GM-CSFおよびFlt3L)導入は、骨髄系細胞の分化ならびに成熟化の促進に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト臍帯血の入手が予定よりも非常に少なく、予定していた数のヒト化マウスを構築できなかった。しかしながら、サイトカイン発現プラスミドのin vivo transfectionによる骨髄系細胞の分化・誘導については有益な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は以下の実験を予定している。 ①骨髄系細胞の分化誘導を向上させたヒト化マウス、および未処置のヒト化マウスに対してHIV-1を感染させ、骨髄系細胞の分化レベルと血中ウイルス量の動態の関連について詳細に解析する。 ②あらかじめ逆転写酵素阻害剤で処理した樹状細胞にin vitroでHIV-1を感染させ、それをナイーブのヒト化マウスに養子移入する。
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Causes of Carryover |
ヒト化マウス構築に必要な臍帯血の供給量が予定を大幅に下回ったため、当初予定の実験を全て行うには至らなかった。それに伴い、研究費の支出も予定より下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に予定していた一部の研究計画については現在も進行中であり、未使用分(104万円)は平成27年度に繰り越して平成26年度に予定してた研究を遂行させる。 さらに、平成27年度は120万円の研究費を請求する。その内訳として、物品費として80万円(ディスポーザブル実験器具、細胞培養関連試薬、組織学的解析関連試薬、抗体等を含むフローサイトメトリー解析関連試薬等の実験に必要な消耗品)、旅費として20万円(研究成果の発表に係る学会参加費・旅費)、その他として20万円(論文英文校閲ならびに論文投稿に係る費用)を充てる。
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Research Products
(5 results)