2015 Fiscal Year Research-status Report
動物寄生線虫(糞線虫)の宿主環境知覚に伴う発育再開メカニズムの解明
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26460509
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
長安 英治 宮崎大学, 医学部, 助教 (20524193)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ベネズエラ糞線虫 / ゲノム / トランスプリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請時においては、ベネズエラ糞線虫のゲノム情報が部分的にしか明らかでなかったため、感染幼虫が宿主体内に侵入した後におこる遺伝子発現変動解析の対象となる遺伝子リストは不完全なものとならざるを得なかった。 本年度は本線虫種の概要ゲノム配列の決定を行い、その結果、約52Mbのゲノム中に16,904の遺伝子の存在が予想された。ベネズエラ糞線虫の全遺伝子リストの作成には①第1期・第2期幼虫の混合サンプル、②感染幼虫、③肺幼虫(動物宿主に感染後約72時間後に肺から回収)、④粘膜幼虫(動物宿主に感染後約80時間後)に回収、⑤寄生世代成虫サンプルに由来するRNA-seqデータが用いられた。特に、肺幼虫と粘膜幼虫のトランスクリプトーム関しては、これまで文献上において、他の糞線虫種を含めても全く報告がなく、外界(土壌環境)から宿主環境(動物体内)という2つの非常に異なる環境への移行に際し糞線虫がどのような遺伝子発現変動をもって対応しているのかという問いに答えるための重要なデータを得ることが出来たと考える。 昨年(平成26年度)においては特に宿主体内に糞線虫が侵入した際に知覚されると考えられる温度上昇、グルコース濃度上昇、アミノ酸濃度上昇の3つに着目し、これらの環境変化を模した様々な培養条件下で感染幼虫を培養し、RNAサンプルを回収してきた。ベネズエラ糞戦中の全遺伝子リストの完成により、これまで回収してきたこれらRNAサンプルを用い、トランスクリプトーム変動をより完全な形で解析する基盤を構築することができたものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発育再開刺激に伴うトランスクリプトーム変動をより網羅的に解析するための基盤としての概要ゲノム配列の決定に重点をおいたため。
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Strategy for Future Research Activity |
感染幼虫が宿主体内で受け取ると考えられる発育再開刺激の中で、特にグルコース、アミノ酸、温度上昇について着目し様々な条件で感染幼虫のin vitro培養を行いRNAサンプルを回収してきた。今年度はこれらのサンプルを用い、全ゲノム情報を用いたトランスクリプトーム解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
比較的高価な試薬を使用するトランスクリプトーム解析関連の実験が次年度に持ち越されたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度に持ち越されたトランスクリプトーム解析の実験に用いる試薬の購入を行う。
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[Journal Article] The genomic basis of parasitism in the Strongyloides clade of nematodes2016
Author(s)
Hunt, V. L. Tsai, I. J. Coghlan, A. Reid, A. J. Holroyd, N. Foth, B. J. Tracey, A. Cotton, J. A. Stanley, E. J. Beasley, H. Bennett, H. M. Brooks, K. Harsha, B. Kajitani, R. Kulkarni, A. Harbecke, D. Nagayasu, E et.al
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Journal Title
Nature genetics
Volume: 48
Pages: 299-307
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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