2014 Fiscal Year Research-status Report
日和見感染性真菌カンジダグラブラータの侵襲感染メカニズムの解明
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26460519
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
知花 博治 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (30333488)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 病原真菌 / カンジダ / 病原性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はカンジダ・グラブラータ全遺伝子組換え体ライブラリーの中から菌株の生育速度が野生株と比較して30%以内の変化しか見られない比較的に生育状態の良い一遺伝子欠損菌株を選抜し実験に用いた。先ず、1種類の遺伝子欠損株の菌体ペレットを20匹のショウジョウバエに対して体液中に接種した。これを2,000種類の遺伝子欠損菌株を40,000匹のショウジョウバエに対して行った。その後、ショウジョウバエの生存数を毎日カウントし、これを7日間継続することによりショウジョウバエの生存率が25%以下に達するまでの日数を求めた。ショウジョウバエの生存率が25%以下に達するまでの日数が短かった200菌株、ならびにショウジョウバエの生存率が高く維持された上位200菌株について同様の感染実験を2回繰り返し行った。以上の結果に基づきショウジョウバエの生存率が25%以下に達するまでの日数が短かった菌株すなわち殺傷力が上昇した菌株30菌株が得られた。またショウジョウバエの生存率が高く維持された菌株すなわち殺傷力が低下した菌株が60菌株得られた。殺傷力が上昇した菌株については、ショウジョウバエが体液中でカンジダ・グラブラータを認識する際に必要な分子の欠損もしくは変異が生じたためにショウジョウバエの免疫システムが作動しないか遅延が生じたためにショウジョウバエの生存率が低下したと考えられ、ショウジョウバエの未知のレセプターの発見が期待できる。一方、殺傷力が低下しショウジョウバエの生存率が上昇した菌株については、カンジダ・グラブラータの病原性に関与する分子の欠損もしくは変異が生じたために殺傷力が低下したと考えられる。今後これらの遺伝子の機能解析を進めることにより、カンジダ・グラブラータの病原性について理解を深めることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、遺伝子組換え体ライブラリーの中から、病原性の変化が見られる菌株をスクリーニングすることが課題であった。当初96菌株ずつ混合しマウスに接種した後に次世代シーケンサーを用いてを各菌株の増減を測定する予定であった。実験系を変更し、東北大学倉田教授、倉石助教との共同研究によってショウジョウバエのToll変異体を用いて、菌株を個別に接種し感染実験を進めることができた。これによって、高精度の結果と解析時間を大幅に短縮することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ショウジョウバエの殺傷力が、カンジダ・グラブラータ野生株に比べて低下した遺伝子欠損菌株が60株、上昇した株が30株確認された。次年度はこれらの菌株の殺傷力が変化した遺伝子について生理機能などの詳細な解析を行う。
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Causes of Carryover |
当初マウスを用いた感染実験を予定していたが、マウスをショウジョウバエに切り替えたために経費を大幅に節約することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は培養細胞を用いた実験を多数予定しており前年度から繰り越した分を充当する。
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Research Products
(1 results)