2015 Fiscal Year Research-status Report
日和見感染性真菌カンジダグラブラータの侵襲感染メカニズムの解明
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26460519
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
知花 博治 千葉大学, 真菌医学研究センター, 准教授 (30333488)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 真菌 / 病原体 / 遺伝子欠損株 / 病原因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
病原性カンジダは、主に腸管粘膜に常在する真菌であり、健常者には罹患しないが、免疫力の低下した高齢者、エイズ患者、抗がん治療患者、臓器移植患者等の易感染患者に対して重篤な全身感染を起こす。細菌類を含む全血流感染症原因菌のうちカンジダは第4位、 全体の7-8%を占め、 致死率20-50%に達し、 国内で約200人/年の死亡数が報告されている。これまでに東北大学倉田研究室との共同研究により、カンジダ・グラブラータ全遺伝子組換え体ライブラリーの中から菌株の培地上での生育速度が野生株と比較して30%以内の変化しか見られない比較的に生育状態の良い2,000遺伝子の欠損菌株を、合計70,000匹のショウジョウバエに対して感染実験を行った。その結果、殺傷力が上昇した菌株30菌株、またショウジョウバエの生存率が高く維持された菌株すなわち殺傷力が低下した菌株が60菌株得られた。これらの菌株について更に詳細且つ高精度な解析を行うために、カイコ幼虫を用いた感染実験を進めている。また、マウスを用いたカンジダ・グラブラータ口腔感染実験を実施したところ、胃部への定着が確認された。そこで、胃酸への寛容性を想定し、酸耐性に関わる遺伝子を検索した結果、酸耐性を示唆する転写制御因子が見つかった。そこで、本遺伝子の欠損株を用いて感染実験を実施したところ、胃部への定着が減少しため、カンジダ・グラブラータの腸管定着に必要な因子であることが明らかになった。次に本遺伝子の制御下にある遺伝子を同定するためにRNA-seqを行ない、複数の遺伝子が見出され、これらの遺伝子群について、遺伝子欠損株を用いてマウスの感染実験を進め胃部からの感染経路について研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の重要課題である血流感染因子、ならびに腸管粘膜への定着因子について各々スクリーニング成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
スクリーニングされた因子が機能する感染メカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
共同利用・共同研究等の運営費交付金から追加予算により本科研費の使用を減らすことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の予定より多くの関連因子が見つかったために研究支援員の雇用及び、マウス感染実験を当初の予定より多く実施する。
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