2014 Fiscal Year Research-status Report
細菌分子による宿主細胞外マトリックスの認識機構の解明と薬物シーズの探索・顕在化
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26460527
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松下 治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00209537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 健太郎 北里大学, 医学部, 助教 (50547578)
美間 健彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80596437)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 細菌毒素 / コラーゲン結合ドメイン / 細胞外マトリックス / 膠原線維 / アンカーリング / 骨新生 / 再生医療 / 技術移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
コラーゲン結合型塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF-PKD-CBD)の作製においては、Clostridium属細菌由来のコラゲナーゼのPKDドメインとコラーゲン結合ドメイン(CBD)をアンカーとして用いてきた。技術移転においては生産性が高く抗原性が低い物質が有用である。そこでPKDドメインを欠くbFGF-CBDについて検討したところ、PKDドメインを有するものが有意に骨形成能が高いことが判明した。そこでPKDドメインの構造機能解析に着手し、その立体構造を決定した。 円柱状のコラーゲン材料とbFGF-PKD-CBD溶液を4℃で30分反応させ、bFGFアンカーリング人工神経鞘を作製した。7週齡SDラットの坐骨神経を15 mmの範囲で欠損させ、欠損部をbFGFアンカーリング人工神経鞘で架橋した(CB-bFGF群)。bFGF-PKD-CBDに替えPBSを用いた場合をコントロールとした(PBS群)。移植4週後、透過電子顕微鏡を用いて神経再生を評価した。CB-bFGF群ではPBS群に比べ多数の有髄神経が認められた。そこで、bFGFアンカーリング人工神経鞘についての特許出願を行った。 新たなコラーゲン結合型生理活性物質として、骨形成タンパク質2(BMP-2)とアンカー(PKD-CBD)の融合タンパク質であるコラーゲン結合型骨形成タンパク質2(CB-BMP-2)の産生を試みた。大腸菌系を用いてチオレドキシンと共発現させることで、BMP-2融合タンパク質を可溶性画分に産生させ精製に成功した。本融合タンパク質はコラーゲン結合能を示したものの、細胞を用いたアルカリフォスファターゼ・アッセイではBMP-2活性を全く示さなかった。BMP-2のC末端領域は分子内深くにあり、この部位を用いて融合タンパク質を作製したことにより、必要なコンフォメーションを取ることができなくなったためと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コラーゲン結合型塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF-PKD-CBD)を用いた骨新生誘導について、 概念の実証、骨折モデルと骨欠損モデルによる検証、最適化に関する計4報の論文を出版することができた。さらに、最適化の過程でPKDドメインが存在した方がより強い骨形成誘導能を示すことが示され、その構造活性相関の解析に着手し、構造決定を完了し論文として報告した。 bFGF-PKD-CBDを新たな基剤と組み合わせることで、神経再生という全く新しい臨床応用が可能になることを示すことができた。これは、新たな特許申請につながった大きなブレーク・スルーであった。 新たなコラーゲン結合性成長因子では、チオレドキシンとの共発現系を用いることにより、これまで全く生産できなかったCB-BMP-2の生産・精製に成功した。本融合タンパク質では、コラーゲン結合能は確認できたものの、BMP-2活性を認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の計画通り研究を進める。 コラーゲン結合型塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF-PKD-CBD)を用いた骨新生誘導については、より臨床に則した動物モデル実験を行なうとともに、特許のライセンスに伴う技術移転に必要な研究を推進する予定である。 神経再生領域では、種々のコラーゲン結合型神経栄養因子の生産を試み、新規基剤にアンカーリングの後、神経欠損モデルに移植して組織学的評価と行動評価を行なう予定である。 コラーゲン結合性BMP-2では、BMP-2のC末端側ではなくN末端側にコラーゲン・アンカーを連結することにより、BMP-2活性が低下した問題を解決する予定である。
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Causes of Carryover |
物品購入の際、想定した価格よりも廉価に購入することができたため、若干の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
概ね計画どおりに推移しているので、次年度使用額も含めて、コラーゲン結合型神経栄養因子やコラーゲン結合型骨形成タンパク質2の生産と精製に必要な試薬類を購入する予定である。また、共同研究先の北里大学を計画どおり訪問して疾病モデル実験に関する情報交換を行なう予定である。設備備品を購入する予定は無い。
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[Journal Article] Acceleration of bone formation during fracture healing by injectable collagen powder and human basic fibroblast growth factor containing a collagen-binding domain from Clostridium histolyticum collagenase.2014
Author(s)
Saito W, Uchida K, Ueno M, Matsushita O, Inoue G, Nishi N, Ogura T, Hattori S, Fujimaki H, Tanaka K, Takaso M.
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Journal Title
J Biomed Mater Res A
Volume: 102
Pages: 3049-3055
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Acceleration of bone union after structural bone grafts with a collagen-binding basic fibroblast growth factor anchored-collagen sheet for critical-size bone defects.2014
Author(s)
Ueno M, Uchida K, Saito W, Matsushita O, Yogoro M, Nishi N, Ogura T, Hattori S, Inoue G, Tanaka K, Takahira N, Takaso M.
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Journal Title
Biomed Mater.
Volume: 9
Pages: 035014
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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