β-ラクタマーゼ反応メカニズムと新規阻害剤探索に関する構造生物学的研究

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 26460534
• Research Institution: Josai International University
• Principal Investigator: 額賀 路嘉 城西国際大学, 薬学部, 准教授 (20251150)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 薬剤耐性 / β-ラクタマーゼ / X線結晶解析 / 分子動力学計算

Outline of Annual Research Achievements

平成26年度は、PenAカルバペネマーゼ：アビバクタム複合体のX線結晶解析を行い、PDBに登録を行った。アビバクタム複合体はすでにいくつか報告があるが、なぜその複合体が安定なのか、その理由を、加水分解が進まない理由と、アビバクタムの再生過程が進まない理由の２つの観点から考察できる結果を得た。実際、論文作成までおこなっている。
プラスミド性クラスCβ-ラクタマーゼであるFOX-4を精製、結晶化を行い、データ収集を行った。予備実験では電子密度が観察され、初期の位相決定が終了している。また、アビバクタム複合体、カルバペネム剤との複合体のデータ収集をはじめていて、今後、ソーキング条件の最適化が必要であるが、活性中心に結合した化合物がみえる状況となった。同様な実験をDHA-1でも行ったがこちらは、精製、結晶化で問題点があり、データを得ることはできなかった。
P99、PenA、SHV-1で基質とのミカエリス複合体の構造を解析するため、活性中心SerのGly変異体を作成している。P99とPenAで成功しているが、SHV-1ではいくつか問題点があり、現時点では成功していない。また同時にK73R(ClassA), K67R(ClassC)も作成中である。P99のS64G変異体は結晶化が可能であることまで確認している。
平成26年度の冬にHPC社製の分子動力学計算用にワークステーションを導入し、セットアップを行った。いくつかトラブルがあり、年度末ぎりぎりの運用開始となったが、Amber14をインストールし、分子動力学計算を試している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ミカエリス複合体解析のための変異体作成：できていない分があるため早期に行う。
遺伝子合成について：当面、分子動力学計算用のワークステーションの充実を優先的に考えたい。Cuda用ボードをもう1基導入したいため、こちらは、延期する物としたい。
FOX-4、DHA-1プラスミド性クラスCβ-ラクタマーゼの構造については、FOX-4の解析を急ぐ。
分子動力学計算に関しては、ワークステーション導入が遅れてしまったため、全体区分をやや遅れているとした。この部門に関しては、本課題の目玉であるため、今年度は総力をあげて結果をだしたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

PenA：アビバクタム複合体に関しては、共同研究者の意見でもうひとつの内容を組み入れたいとのことで投稿まではいたっていない。2015年度ICAAC(ASM’s Interscience Conference of Antimicrobial Agents and Chemotherapy)にて発表予定である。また、これまでに精密化まで終わっているP99：カルバペネム複合体について早急に結果を論文に投稿する。
結晶化まで進んでいるFOX-4とS64G変異体に関しては、できるだけ早く実験を進めていきたい。DHA-1は、タンパク質の性質的にアグリゲーションを起こしやすいようで、結晶化に困難を伴うと予想される。これについては、作業を続けるか撤退するかを早めに決定する。
分子動力学計算についてはセットアップを終了し、試験的な計算を行っている段階なので、β-ラクタマーゼの計算を早急にはじめる。行いたい計算の種類が沢山あるため今年度の予算から金額的に可能であればCUDAボードを一枚追加したいと考えている。

Causes of Carryover

昨年度後半に発注を行ったHPC社製のワークステーションのラックへの接続部品の納入が遅れたため、納入が年度末、支払いが４月１日となってしまった。実際には支払いは済ませてあるので、現時点での残金は、ゼロに近い状況である。今年度分の使用に関しては計画通りに行う予定である。

Expenditure Plan for Carryover Budget

支払い時期がずれてしまっただけなので使用計画に当初からの変更はない。ただし、今年度分は前述の通り、ワークステーションの補強にあてたいと考えている。