2014 Fiscal Year Research-status Report
Fasシグナルを介した新たな細菌感染防御機構の解明
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26460539
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
内山 良介 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20456891)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Fasシグナル / IL-1b / Th17 / Listeria |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、細菌感染モデルマウスを用いて、Fasシグナルを介した炎症応答が、生体においてどのような感染防御メカニズムを惹起し、実際の細菌の排除につながっているか検討を行った。 まず、野生型およびFas遺伝子欠損マウスを用いて実験を行った。細胞内寄生性細菌の一種リステリア属細菌(Listeria monocytogenes)の感染によって、いずれのマウスにおいても、Th1細胞は同程度の誘導が認められた。しかし、IL-17A産生細胞であるTh17誘導において、野生型マウスに比べてFas遺伝子欠損マウスでは、その程度が低いことがわかった。Fas依存的に誘導されるTh17細胞がどのような性質を有するのか、さらに検討するため、IL-17A産生細胞を回収して遺伝子発現を調べたところ、IL-17Aに加えてIFN-gが強く誘導されていた。これより、Fasシグナルを介した炎症応答が、IL-17A/IFN-g両産生性のT細胞を誘導していることがわかった。 一方、リステリア属細菌の感染では、マクロファージのFasシグナルを介して、炎症性サイトカインIL-1b/IL-18産生が誘導されることを既に報告している(Uchiyama et. al., J. Immunol., 2013:190(8):4245-4254)。とくに、IL-1bは、Th17細胞の誘導に関与することが知られるため、この関与を検討した。IL-1b受容体であるIL-1RL1に対する中和抗体をマウスに投与し、IL-1bシグナルを阻害した場合のIL-17産生T細胞の誘導について検討を行った。その結果、T細胞からのIL-17A産生が阻害された。以上のことから、リステリアの感染により、マクロファージのFasシグナルを介して産生されたIL-1bが、IL-17A産生細胞を誘導し、リステリア属細菌の排除につながっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究では、おおむね計画していた研究を遂行することができ、結果を得る事が出来た。得られた成果を論文としてまとめ、現在、投稿を行っている。査読を受け、追加の実験を行っているところであり、この点からみて、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、査読の結果をもとに、さらに追加の実験を行い、最終的に論文掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
学会参加における旅費について、当初計画で計上していた経費よりも、費用を抑えることができたため、その費用を次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の出張において、当初計画で計上していた経費よりも費用がかかる可能性があるため、その費用として使用する計画とする。
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