2014 Fiscal Year Research-status Report
集団食中毒事例で検出された新規Stx2ファージの機能解析と疫学研究
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26460544
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Research Institution | Toyama Institute of Health |
Principal Investigator |
綿引 正則 富山県衛生研究所, その他部局等, その他 (20372104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Ⅱ型制限修飾酵素遺伝子 / Stx2ファージ / Stx2プロファージ / 集団食中毒 / ファージ疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、Ⅱ型制限修飾遺伝子を保有したStx2溶原菌から、制限修飾遺伝子のノックアウト株の作製を試みた。方法としては、遺伝子ノックアウト株を作成することを目的とした市販のキットを用いて、作成の準備を行った。 また、本食中毒事例で分離された血清群O157のStx2プロファージの配列を解析したところ、EHECO111由来と思われるStx2ファージ(Ⅱ型制限修飾遺伝子を保有)がO157のargWサイトにプロファージとして存在していることが判明した。本事例では、重症患者から、血清群O111あるいはO157のEHECがおのおの単独、あるいはともに分離されており、患者消化管内でO111とO157株のStx2ファージの交差感染が強く疑われる結果となった。これらの結果は、本食中毒事例の特に重要患者には、2つの血清群のEHECと2つのStx2ファージ(ひとつはⅡ型制限修飾遺伝子を保有)が存在したことが、重症化の要因のひとつと考えられた。 そこで、Ⅱ型制限酵素遺伝子の役割を解析するための道具として、EHECO157からStx2ファージの分離と非病原性大腸菌C600のStx2溶原化実験を開始した。その結果、初めてEHECO157由来のStx2ファージのプラーク形成に成功し、現在、Stx2ファージの溶原菌分離を試みている。 また、Stx2ファージの疫学データを得る目的で、食品や肉加工施設で検査目的にサンプリングされるドリップ中のStx2ファージ検出のための方法を検討した。その結果、非病原性大腸菌C600を指示菌として、増殖後、ファージ粒子濃縮操作を実施することで、プラークを形成に成功した。この方法を用いて、実際の食品や肉加工施設でサンプリングされたドリップ等、合計260検体を検査したところ、30検体からプラークを検出した。しかし、いずれもStx2ファージではなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Ⅱ型制限修飾酵素遺伝子のノックアウト実験は、病原細菌を用いた遺伝子組換え実験を実施するため、大臣確認申請が必要であり、手続き等により若干遅れており、実際の実験が遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子組換え実験の大臣確認実験として申請することが、制限修飾遺伝子のノックアウト株作製に必要である。 ノックアウト株を用いたⅡ型制限修飾遺伝子の食中毒事例での重症化要因となるかどうかの確認を、毒素産生性により判断することが必要である。そのためのアッセイ系として、Ⅱ型制限修飾遺伝子を保有しないStx2ファージの溶原菌を分離することが必要と考えられ、引き続き分離を試みる。
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