2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460550
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
武内 寛明 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20451867)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HIV-1 / 宿主因子 / リン酸化 / uncoating / capsid |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HIV-1感染細胞内におけるコア構造体の崩壊メカニズムについて、(1)HIV-1 CAコア崩壊促進因子:hCPSF6-375分子および(2)HIV-1 CAコア崩壊制御因子:AMPK-RPK分子の2つの宿主因子の機能解析を通じて理解を深めることが目的である。平成26年度は、(1)hCPSF6-375分子の内側領域167アミノ酸残基がコア構造崩壊を促進し逆転写反応効率の低下を引き起こすことがわかった。また、(2)AMPK-RPKは、Maternal Embryonic Leucine Zipper Kinase (MELK)というリン酸化酵素であり、MELK発現抑制細胞を用いて、MELK再構築細胞およびMELK酵素活性変異体再構築細胞を樹立し、HIV-1感染効率復帰能について検討した結果、感染細胞内においてMELKのリン酸化酵素活性がHIV-1感染制御に必要であることがわかった。また、in vitroリン酸化実験の結果より、感染細胞内のCAコア構造を構成しているHIV-1 CAタンパクのSer-149残基を特異的にリン酸化することがわかった。また、HIV-1 CA S149E疑似リン酸化変異体を用いた結果、Ser-149のリン酸化状態とコア崩壊および逆転写反応効率とが密接に関連することがわかった。更には、異なるMELK阻害剤2種はHIV-1逆転写反応過程に影響をおよぼすことでHIV-1感染を阻害する効果を有することを明らかにした。このことは、HIV-1ではなく宿主因子を標的にした機能阻害剤が、新規HIV-1感染制御法の確立に寄与する可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画として、(1)hCPSF6-375分子の内側167アミノ酸領域(hCPSF6-167)がコア崩壊制御と逆転写反応効率に影響をおよぼすか否かを検討する予定となっており、fate-of-capsid assayを用いてコア崩壊制御への寄与について解析した結果、hCPSF6-375と同様にhCPSF6-167もコア崩壊制御とそれに伴う逆転写反応過程に影響をおよぼすことがわかった。(2)AMPK-RPK: MELKのリン酸化酵素活性のHIV-1 CAコア崩壊制御メカニズムに対する影響について解析する予定となっており、in vitroリン酸化実験およびMELK発現抑制細胞を用いたMELK再構築実験による機能解析を進めた結果、MELKのリン酸化酵素活性がコア崩壊制御に寄与すること、MELKによるHIV-1 CAコア構造体のリン酸化部位は、Ser-149残基であることがわかった。また、Ser-149残基の疑似リン酸化変異体HIV-1を作製し、HIV-1感染細胞内におけるCAコア構造体のリン酸化状態と崩壊制御メカニズムの関連性についてより詳細に解析を進めたところ、HIV-1感染後に、コアのリン酸化が段階的に進むことで、コア崩壊が制御されていることがわかった。更にはMELK阻害剤であるSiomycin AおよびOTSSP167がHIV-1感染阻害効果を有することもわかった。これらの研究成果は、平成26年度の研究実施計画と照らし合わせて、おおむね順調に進展していると判断出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)hCPSF6-375分子について hCPSF6-375分子の内側領域であるhCPSF6-167分子が、375分子のHIV-1感染制御メカニズムの責任領域であることがわかったことから、責任領域をさらに絞り込む作業を進めることで、バイオロジカルプローブとしての利用価値を見極めていく。 (2)MELKについて 平成26年度の研究実施計画だけでなく、27年度の実施計画もほぼ遂行出来たことで、MELKがHIV-1 CAコア崩壊制御メカニズムに寄与する宿主因子であるという内容の学術論文を既に投稿し修正段階に入ったところである。今年度はその修正指示に基づく更なる機能解析を進めていく。
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