2015 Fiscal Year Research-status Report
パラミクソウイルスの膜融合における機能的および物理的HN-F相互作用の解析
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26460552
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
鶴留 雅人 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50159042)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラインフルエンザウイルス / HN蛋白 / F蛋白 / 分子間相互作用 / 細胞融合 / 膜融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) HPIV2 HNのStalk領域をSV41 HNの当該領域で置き換えたキメラHN(CH1-94)がHPIV2 Fとではなく PIV41 Fと特異的に機能的相互作用をする(細胞融合を誘導する)ことをすでに報告した (Virology, 1995)。一方、PIV5 Fの頭部(Head)領域の21個のアミノ酸をSV41 Fの対応アミノ酸で置換したキメラF(No.36)がSV41 HNと特異的に機能的相互作用をすることを近年報告した(J Virol, 2013)。以上の結果から、CH1-94とNo.36 はSV41特異的なキメラHNとキメラFであると考えられたので、本研究においてこれらのキメラ同士の機能的相互作用能を調べたところ、予想に反して細胞融合は全く誘導されなかった。 (2) 上記の予想外の現象を追究した結果、CH1-94のHead領域(HPIV2 HN由来)の2量体境界部近傍に位置する13個のアミノ酸をSV41HNの対応アミノ酸で順次置換することにより作製した20種のキメラHNが様々なF特異性を示すこと、さらに、そのうち2つのキメラHNがSV41HNと同様のF特異性を示すことを見出した。なお、Native PAGE解析の結果、これら20種のキメラHNの安定性は同程度であったがいずれもCH1-94よりも低いことが判明した。すなわちHNの安定性とF特異性との関連は認められなかった。 (3) MuV HNはHPIV2FやPIV5 Fとも機能的相互作用をするが、HPIV2HNやPIV5 HNはMuV Fとは機能的相互作用をしない。そこでこれらのStalk領域のアミノ酸配列の比較解析を行ったところ、このようなHNの互換性の有無を説明できるようなアミノ酸は存在しないことが判明した。 (4)以上の結果から、HNのF特異性はそのStalk領域の一次構造だけではなく、Head領域の相違等に起因するStalk領域の立体構造によって規定されていることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HNのStalk領域はFとの物理的相互作用に関わっており、F特異性を規定する領域と考えられてきたが、本年度の研究によりHNのHead領域の一部(Region II)のアミノ酸群がStalk領域の立体構造に影響を与え、そのF特異性を修飾することを強く示唆する結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
FのHead領域の一部(Middle Region)のアミノ酸群が、そのHN特異性を規定することをすでに発表したが、一昨年度の本研究により、Fのtalk領域がこのHead領域のHN特異性に影響を与えることが判明している。本年度は、このFに関する知見と昨年度得られたHNに関する知見の整合性をキメラ解析により追究する。
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Research Products
(10 results)