2014 Fiscal Year Research-status Report
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26460558
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大野 真治 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50419529)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスガンマヘルペスウイルス(MHV)68が持つ5種類のスイッチ蛋白質(ORF18, ORF24, ORF30, ORF31, ORF34)を発現するプラスミド、また、それぞれを欠損するウイルスゲノムを持つ細菌人工染色体(BAC)を作成した。また、各蛋白質を安定発現する細胞の樹立を試み、ORF30とORF24以外の安定発現細胞を得た。作成した安定発現細胞株を用いて、ORF18、ORF31、ORF34をそれぞれ欠損するウイルスを回収した。組換えBACを用いた検討から、あるウイルス蛋白質(たとえばORF18)の欠損は同じ蛋白質でのみ増殖を補完でき、他の蛋白質ではできないことが分かった。感染細胞での各蛋白質の相互作用を検討するために、タグを付けた蛋白質を発現するウイルス、もしくは蛋白質特異的抗体を作成中である。 ORF31と結合する蛋白質を免疫沈降法および質量解析で検討し、100種類以上の蛋白質を検出した。現在までに7つの蛋白質について、ORF31との結合性やshRNA導入による遺伝子ノックダウンのMHV68増殖に対する影響について検討を行った。うち、3種はノックダウンによる細胞障害が強く、検討を中止した。別の3種はノックダウンによってウイルス増殖が影響を受けなかったため検討を中止した。1種につき、ORF31との結合性は微弱もしくは認めないが、ノックダウンによりウイルス増殖が低下したため、現在、詳細な解析を進めている。今後、さらに検討するORF31結合蛋白質の数を増やす予定である。 機能不明であり、ウイルス増殖に必須であるとされるORF35蛋白質がスイッチ蛋白質として機能するかを検討した。既報と異なり、ORF35蛋白質はウイルス増殖に必須ではなく、スイッチ蛋白質ではないことが明らかとなった。本件については論文修正原稿を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ORF24,ORF30の発現細胞をテトラサイクリン誘導発現もしくは一過性発現によって解決することによって当初予定を充足させることが可能である。 ORF31との結合がはっきりしないという問題はあるものの、ノックダウンによってMHV68の増殖が低下する新規宿主蛋白質を一つの候補として解析するに至っている。 ウイルス増殖に必須であり、機能不明であるとされていたORF35蛋白質が、実際は必須ではなく・スイッチ蛋白質として機能しないということを明らかにすることができ、修正原稿の準備まで到達できた。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ORF24, ORF30の安定発現細胞株を定法で作成する代わりに、テトラサイクリン誘導発現細胞・一過性発現細胞を検討する。また、得られた蛋白質欠損ウイルスについては当初予定通りに検討を進めていく予定である。 現在、ウイルスの増殖に影響を与える宿主因子はスイッチ蛋白質の機能に影響を与えているわけではないことから、当初予定とは異なる解析(ウイルス粒子形成・自然免疫応答など)を行う必要がある。また、同定された100種以上のORF31結合蛋白質の検討も並行して行い、当初予定の解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
想定よりBACの作成、安定発現細胞の樹立を問題なく行うことができた。その一方で、経費を抑えるためにORF24、ORF30の安定発現細胞の作成には定法に固執してしまった。同様に蛋白質の検出を容易にする目的で行った、蛋白質タグが挿入困難なORF30、ORF18についてもタグの挿入に固執してしまったことが理由であると考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ORF24、ORF30発現細胞を樹立するために市販のテトラサイクリン誘導発現系を購入する。また、ORF30,ORF18を認識するウサギポリクローナル抗体を外注する予定である。
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