2015 Fiscal Year Research-status Report
IL-21による炎症性大腸腫瘍発生機構の解明とその抑制
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26460568
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
浅尾 裕信 山形大学, 医学部, 教授 (80250744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良 英利 山形大学, 医学部, 助教 (00375338)
武田 裕司 山形大学, 医学部, 助教 (90302299)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 炎症性発癌 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
私達が作成したIL-21アイソフォーム発現マウスでは、dextran sulfate sodium (DSS)で誘導される大腸炎が増悪することを報告した。このマウスにDSSとazoxymethane (AOM)を合わせて投与すると、炎症性大腸癌の発生が亢進することが分かった。そこで、IL-21が直接大腸上皮細胞に作用し、がん発生に関わる可能性を検討した。 1.大腸上皮細胞株での解析 初めに、マウス大腸癌細胞株(Colon38)において、IL-21受容体やγc鎖の発現を解析した結果、Colon38には恒常的にIL-21受容体やγc鎖 が発現していた。さらに、LPSやCpG DNAなどのTLRリガンドやTNFαやTGBβで刺激することによりIL-21受容体発現がさらに亢進した。この結果から、炎症に伴って大腸上皮細胞のIL-21受容体の発現が上昇する可能性が示唆された。IL-21は活性化B細胞でのactivation-induced cytidine deaminase (AID)の誘導に関与する。そこでColon38をIL-21とTNFαで刺激したところ、AIDの発現が上昇した。この際、IL-21受容体発現量とAIDの発現量、あるいはγc鎖発現量とAID発現量との間にそれぞれ相関関係がある事もわかった。 2.大腸上皮細胞での解析 大腸上皮細胞を分離し、RT-PCR法でIL-21受容体とγc鎖発現を調べたところ、弱いながらIL-21受容体とγc鎖が発現していた。AID発現を調べた結果、無処理の野生型マウスでは、弱いAID発現を認めたが、DSSとAOM を投与したマウスでは、IL-21受容体とともに、AIDの発現も上昇する傾向が認められた。IL-21が大腸上皮細胞上のIL-21受容体を介してAIDの発現を増強させ、発がんに関わっている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸上皮細胞株のIL-21受容体発現解析については、発現を促進する因子としてLPSやCpGなどのTLRリガンドや、TNFαやTGFβなどのサイトカインを同定出来することが出来た。 大腸上皮細胞のIL-21受容体発現、AID発現解析については、炎症を誘導した場合に発現が促進される傾向が認められたが、まだデータが不十分である。ex vivoで組織をそのまま培養し刺激を加えてみたが、その24時間後の組織から上皮細胞を回収することは出来なかった。今後さらなる検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
大腸上皮組織を回収したのち、細胞を分離せずに組織のまま培養液中で培養してみたが、細胞の状態が悪く、上皮を回収することが出来なかった。ex vivoの上皮細胞に対して、Respondin1、EGF、Nogginなどを含んだ培養液を試みる、あるいはマトリゲルを用いた三次元培養などを検討する必要があると考えられる。大腸上皮細胞のex vivo培養系が樹立出来れば、IL-21など各種サイトカイン刺激を行ってAID発現等について調べて行く。また、野生型マウスとIL-21アイソフォーム発現マウスでの比較検討も必要である。
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